就寝時時間を決めることで質のいい眠りになる

「良い眠り」「質のいい眠り」が、「太らない体」をつくる1 。当然、寝つきが悪い、よく眠れない、といった悩みを1つでも持つ人は、それだけで「太る体」予備軍です。

「良い眠り」を得られるように、そして成長ホルモンと「DHEA」が十分に分泌されるように、早めに対処しなければなりません。寝つきが悪く、よく眠れない人は「眠り方」を変えてみるといいでしょう。

たいていは「朝5時に起きたいので、夜10時に寝る」というように、起きる時刻から睡眠時問を逆算して寝る時刻を決めます。しかし、寝つきが悪く、よく眠れない人は、「明日の夜は2時に寝たいので、明日の朝は6時に起きる」というように変えてみてください。

そして、最終的には、起床時間を規則正しくすることを目標にします。これは、睡眠ホルモンであるメラトニンの性質を利用して、専つきを良くする方法です。「寝つきが悪い」「よく眠れない」といった軽い睡眠障害には、効果てき面なのです。ここで私の指導例を紹介しましょう。

39歳のAさん(会社員・男性) は、寝酒にシングル1杯程度のウィスキーかブランデーを飲むのを習慣にしていました。ところが、すぐに寝つけるものの、1~2時間ほどで目覚めて眠れなくなることが頻繁に起こるようになりました。そのうち、だんだん寝酒の量を増やさないとうまく寝つけなくなり、シングル3~4杯くらい飲むようになってしまいました。

健康を考え、寝酒を控えようとしたのですが、「眠らなければならない! 」と思えば思うほど頭がさえて眠れず、むずかしい本を読んでも眠気が起こりません。朝は起きるのがつらく、時間ギリギリまで寝ているようになりました。このようなケースでは、サプリメントのメラトニンを利用するのが一番なのですが、快眠用サプリは「心身をリラックスさせるテアニン」があります。

こういったサプリの使用を拒む方もたくさんいらっしゃいます。そんな人はどうすればいいのでしょうか?
夜2時までの就寝の習慣づけを目標に、起床時刻を6時に設定しました。まず、眠気が起こるまで、床に入らないようにします。当初は寝るのが午前3時、4時になりましたが、何時に寝ても起きるのは6時と決めました。それまでは午前10時か11時まで寝ていた休日も、6時に起きるようにしました。
すると、1~2週間ほどは日中に眠気が生じて困りましたが、ついに夜10時ごろに眠気が生じるようになって寝つけるようになり、朝もらくに起きられるようになりました。セロトニンとともに「睡眠・覚醒リズム」をつくっているのが、誘眠ホルモンのメラトニンで、睡眠時に分泌されます。

メラトニンは量を増やして眠気を起こし、眠りに誘導し、熟睡させます。そして、量を減らして眠りから目覚めさせる働きをしています。分泌量は午前2時~4時にピークに達し、朝になると減少し、日中は少ないままで、夜になると徐々に増加していきます。夜9時ごろに眠気を感じるレベルになり、10時ごろか11時ごろまでに入眠レベルに達し、朝4時をピークに山型に上昇・下降して、入時ごろに低レベル(活動レベル) に戻ります。これに合わせると、夜9時ごろにリラックスして寝る準備をし、10時から11時の問に床につき、朝6、7時ごろに起きる。これが、理想的な睡眠のとり方といぅことになりますが、

こうした理想的な睡眠習慣はなかなかむずかしいに違いありません。遅くまで働いたり、遊んだりしていると、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなってしまうのは、このメラトニンの分泌サイクルを無視するからです。ただ、メラトニンが増えはじめる時刻は、じつは一定しているわけではありません。

太陽の光が、メラトニンが分泌されはじめる時間を決めているのです。毎朝、起きたときに太陽の光を浴びた瞬間に、その時刻から14~16時間後に増えはじめるよう、自動的にセットされます。
たとえば、太陽の光を浴びる時刻が朝6時ならば夜8時~10時に、朝8入時ならば夜10~12時に増えはじめ、眠気を催します。したがって、朝6時に起きて、17時間後の夜2時に寝る場合は、ちょうどメラトンの分泌が増えているので、寝つきが良くなります。

しかし、朝8時に起きて、13時間後の夜9時に寝る場合は、分泌量が増えていないので、寝つきが悪くなります。このメラトニンの性質を知らないばかりに睡眠のリズムが乱れ、不眠症になってしまう人が少なくないのです。

もし、「寝つきが悪い」「よく眠れない」といった悩みがあるのなら、このメラトニンの性質を利用しない手はありません。そこでまず明日の「寝る時間」を決めます。そして、メラトニンの分泌が始まってから十分に分泌されるまでの時間を考えて、決めた「寝る時間」の15~17時間前に「起きる時間」を設定します。∫ つまり、よく言われるように「7時間、寝る」ではなく、「15~17時間、起きている」を基準にする、ということです。

15~17時間、起きていることにすれば、必ず狙った時間に睡魔が訪れ、グッスリ眠れる、というわけです。そして朝起きたら必ず太陽の光を浴びること。雨の日でも外に出れば太陽の光を浴びたことになります。これで、寝たい時間に眠気が襲ってくるようになり、徐々に「良い眠り」が得られるようになります。

快眠だけでなく若返りの食材レバーを食べよう

日中、太陽の光を浴びると、「良い眠り」と「良い目覚め」が得られます。通常、人は夜になると眠り、朝になると起き、日中に活動するというリズムで生活しています。これを「睡眠・覚醒リズム」と言います。

体はこのリズムに合わせて、夜は休息モード、日中は活動モードになっています。夜遅くまで活動したり、朝遅くまで寝ていたりすると、「睡眠・覚醒リズム」が崩れてよく眠れなくなってしまいます。

こうして睡眠がさまたげられると、成長ホルモンの分泌がうまくいかなくなります。それのみならず、不眠は体にとって最大のストレスとなりますから、ストレスを大敵とする若返りホルモン「DHEA」の分泌までさまたげられてしまうのです。これほど成長ホルモンと「DHEA」の分泌に大切な「睡眠・覚醒リズム」をつくっている物質の1つが、セロトニンです。

脳内で情報を運ぶ神経伝達物質で、太陽の光を浴びたり、運動をしたりすることによって分泌が進みます。セロトニンが足りているか、不足しているかで、私たちの心も体も、大きく違ってきます。

「太る体」「太らない体」も、セロトニンに左右されているのです。セロトニンが脳内に十分にあるときは、大脳の働きが活発になり、活動的、積極的になります。また、興奮やイライラ、不快感などが抑えられ、心が安定します。食事をしたときには、満腹中枢に満腹サインを送って、肥満を防いでくれます。しかし、脳内に不足すると、たちまち支障が生じます。日中働いたセロトニンは、暗くなると脳の中心部(松果体) にあるホルモン分泌器官で、誘眠ホルモンであるメラトニンに変換します。

セロトニン が脳内に不足するということは、このメラトニンが十分に分泌されないということです。したがって、寝つきが悪くなり、深い眠りが十分に得られなくなります。そして、やる気を失ったり、活動がおっくうになったり、気分が沈み込んだりしてしまいます。また、食事をとっても、その情報が満腹中枢へ伝わりにくくなり、食べすぎて肥満を招きやすくなります。

セロトニンがきちんと分泌されることが「太らない体」づくりでいかに重要かがわかります。セロトニンの敵は、ストレスです。過度なストレスを受けるとセロトニンの働きが悪くなり、「良い眠り」「良い目覚め」が妨げられます。それで、睡眠トラブルが起こったり、うつ状態になつたりします。

逆にセロトニンの味方となるのは、すでに述べたように太陽の光。豆腐などの豆製品、ヨーグルトなどの乳製品、ごはんなどの炭水化物類、バナナなどの果物類と、セロトニンをつくる食材もたくさんありますので、ふだんからそれなりにとれている人も多いはずです。

それ以外には、レバーを含む肉類と魚類が挙げられます。肉類には、セロトニンの「材料」となる必須アミノ酸(トリプトファン) が含まれています。必須アミノ酸は体内ではつくれないので、食事でとらなければなりません。また、レバー、魚類には、セロトニンをつくる手助けをするビタミンB2が多く含まれています。中でも強力なのは、レバーです。「快眠+ 若返りの食材」と言っていいでしょう。

前に挙げたような「不足したときの症状」が出たら、より効果のあるレバーを1日1食だけでも取り入れてみてください。レバーばかりは嫌だ、と思われた方は、イワシやサンマといった青魚と合わせてもけっこうです。
これを3、4日、続け、徐々に食べる回数を増やしていきます。1日にどのくらいの量をとらなければならない、ということはありません。
自分の感覚で、以前より少しでも多くとることを意沸する。この意識づけが肝心なのです。成長ホルモンと「DHEA」の分泌量を増やすためにも、日中に太陽の光を浴びることに加え、レバーを意識的に食べるようにするのがポイントです。

午前1時過ぎに寝る人はNG

成長ホルモンは、寝ながらにして美容もダイエットもかなえてくれるホルモンです。夜間、睡眠中に集中的に分泌され、次のような働きをします。

まず、成長ホルモンは、皮膚のメンテナンスを担っています。日中、紫外線を浴びてダメージを受けた肌を、夜の問に修復してくれるのです。
女性は「朝の肌」をバロメーターにして、「よく眠れなかったので、肌が荒れている」「よく眠れたので、肌のツヤがいい」などと言って気にしますが、理にかなったチェック法です。

次に、成長ホルモンは筋肉の増強にも大きく関係しています。運動で傷ついた筋肉にタンパク質を補給して傷を修復し、筋肉の量を増やしてくれるのです。さらに成長ホルモンには、体脂肪を減らす作用もあります。体脂肪の分解をコントロールしている脂肪ホルモン(アディポカイン) に働きかけ、体脂肪を減らします。

「良い眠り」とは、「成長ホルモンがしっかり分泌される眠り」と言われています。「夜の10時ごろから午前2時ごろまで深い眠りに入っていること」が「良い眠り」の条件だと言ったのも、じつはこの時問帯に深く眠っていると、成長ホルモンがもっとも活発に分泌されるからなのです。

分泌は睡眠後、3時間ほど続きます。一般に、「6時問から8時間、グッスリ眠る」のが「良い眠り」と考えられています。しかし、この条件を満たすだけでは「良い眠り」と言えません。睡眠は単なる休息ではなく、体を強くする役割を担っています。そのため、成長ホルモンの正常な分泌がなくてはならないのです。

いい眠りで肌美人になれる?では睡眠不足のデメリットについて紹介されています。

睡眠時問を6時問以上とってグッスリ眠っていても、午前1時に寝ていては分泌が少ないので、ダイエットの効果は期待できません。また、夜10時に寝ても、寝つけなかったり、深い眠りが少なかったりすれば、やはり成長ホルモンの分泌量は少なくなります。成長ホルモンの脅威になるのが甘いものや炭水化物・アルコールです。これらには成長ホルモンの分泌を抑える作用があるからです。
これらをとっていいのは就寝2時間前まで。それ以降は、厳禁です。夜遅くまでお酒を飲み、ラーメンやお茶漬けで締めて、午前2時、3時に寝るというような生活では、成長ホルモンが十分に分泌されません。そ
れで若さが失われ、「中年太り」がどんどん進んでいくのです。仕事や付き合いで、夜10時に寝るのはなかなかむずかしいかもしれません。
でも、ときには仕事も付き合いもない夜というのも、あるはずです。

いつも夜10時に寝るのがむずかしければ、それなりに「良い眠り」をするコツというものがあります。でも、もし何もしなくていい夜があったならば、極力、夜10時には寝床に入るようにしましょう。「夜遅くまでお酒を飲み、ラーメンやお茶漬けで締めて、午前2時、3時に寝る生活」をむやみに続けて太るにまかせるか、できることから始めるか?。選ぶのは、あなた次第なのです。