女性は脂肪をため込もうとする体の自然な働きがある

人工透析の厳しい現実や、失明寸前になった方のエピソードは、驚いたかもしれません。

でも、糖尿病はそれほど恐ろしい病気です。その点だけは、忘れてはいけません。

これだけ糖尿病患者が増えている以上対岸の火事では済まされないところまできています。もう1つだけ、データを提示しましょう。前の項で、日本の透析患者さんは毎年1 万人ずつ増えると書きましたが、実際に増えているのは3万人。つまり、毎年2 万人が亡くなっているのです。糖尿病によって腎臓病を患い、人工透析を始めた方の平均余命は、わずか5年程度しかありません。

糖尿病は、こうして人々の命をおびやかします。しかし、その大元は肥満ですから、そぅならないような生活をしていけば糖尿痛にもなりません。そこで注目すべきは、食事です。噛む噛むダイエットは、

  1. 食事の際、30回噛んでから飲み込む
  2. 毎日、体重計に乗る

という2つのことをするだけで、無理なくダイエットできる方法です。30回噛むのは大変そうですが、すぐに習慣化するので安心してください。

ダイエットの効果についても、折り紙つきです。そう書くと、「お前、自分がやっていることを自慢するな」と叱られそうですが、折り紙をつけてくれたのは私ではなく患者さんたちです。

ところで、人はなぜ太るのでしょうか。食べるものの量や、コレステロールなどの脂肪分ではないことは、アメリカでの研究結果からも明らかです。その研究で、人々はコレステロールを控える代わりに炭水化物を食べ、肥満と糖尿病を増やしました。

答えは簡単、肥満の原因は炭水化物。つまり主食にあったのです。日本人はご飯、欧米人はパンが主食。材料でいえば、米と小麦です。これらが主食になったのは、人類の歴史でいえばつい最近の出来事でした。

糖質制限ダイエットは主食を抜いて、お肉、お魚は制限なく食べるダイエットです。

諸説あるようですが、人類が地球上に生まれて400万年。サルからヒトヘ、歴史で習つたアウストラロピテクスやネアンデルタール人を経て進化を遂げてきました。その長い間、人類が何を食べてきたかといえば、肉。狩りをして、獲物を得ていたのです。

狩猟生活では、いつ食事ができるかがわかりません。現代のように、朝昼晩と3 回食べるなんて、夢のまた夢。ということは、食事で得たエネルギーをなるべく消費せず、次の獲物を得るまでもちこたえる必要があります。そうして人類は、体にエネルギーを貯蔵する仕組みを備えるようになりました。

進化は、生活の状態に沿って進みます。たとえば深海魚は目が退化しますし、アリクイは指が長くなりました。

人類も、しばらく獲物が取れなくても生きられるよう、長い時間をかけて体内をつくり変えていったのです。人類でそれが特に顕著なのが、女性です。出産や授乳という大きな仕事を与えられた女性は、赤ちゃんが泣けばおっぱいを与えなくてはなりません。それが夜中でも、自分がどんなに空腹のときでも、赤ちゃんはお構いなしに泣きます。

しかし、狩猟生活ではいつ食事にありつけるかがわかりません。ですから女性には、目の前に食べ物があると、あるだけ全部食べるクセがつきました。買ってきたお弁当を残さないのもそのためですし、家族の食べ残しを全部平らげるのもお母さんの役割です。

なぜかといえば、体に脂肪をためなければならなかったから。そうして、脂肪を蓄えることのできる女性は、食べ物があると残さず平らげて人類を守ってきました。現代に生き残っている女性にも、太ろうとする本能がそのまま備わっていますから、放っておくと必ず太ります。太らないと死んでしまうからです。

生きるために蓄えた脂肪を、運動して燃やしてしまったらどうなるでしょう? 夜中におっぱいが出なくなります。だから女性は、その日のうちに脂肪を取り戻そうとして、たくさん食べるのです。運動するとおなかがすくのは、本能なのです。

重大な睡眠時無呼吸症候群と糖尿病との関連性

生活習慣病の分野で、よくいわれるものに睡眠時無呼吸症候群とメタポリックシンドロームとの関係があります。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まってしまう症状のこと。
普通の寝息は「スースー」とリズミカルなのですが、こちらは「スー (しばらく無音)スー」と途切れてしまうのです。

ひどい場合には、呼吸が止まった状態が10秒も20秒も続きます。そういった無呼吸状態が、ひと晩に30回以上もしくは1時間に5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群の治療その5「家でできる無呼吸やいびきの対症療法」 | いびきを甘くみてはいけない

ただ呼吸が止まるだけではありません。この病気の人は、日中にひどい眠気に襲われるようになります。以前、新幹線の運転士が居眠り運転をしてしまい、検査してこの病気であるとわかったときには、大きな社会問題になりました。
それだけでなく、本人の健康にも多大な悪影響を及ぼします。無呼吸によって血中の酸素濃度が下がることで、高血圧などのリスクが高まるのです。

また、睡眠時無呼吸症候群の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいという相互関係があることもわかってきました。その原因の1つは、肥満によって喉の気道が狭くなることにあるとされています。

特徴は、大きないびきをかくことです。睡眠中に起きる症状なので、自覚はほとんどありません。睡眠時無呼吸症候群であるとわかるのは、パートナーの指摘によってである場合がほとんどです。最近は検査を実施している医療機関も増えてきましたので、気になる方は検討してみてください。

呼吸が途切れてしまうような睡眠では、体を休めることができません。どうやら、正しい睡眠のためにもダイエットが重要のようです。

糖尿病は、じわりじわりと少しずつ進行します。そして、あるときに判明して慌てることになります。ここで、典型的な実例のひとつです。ある方は、51歳男性。子どもの頃から食べることが大好きで、現在の身長(169cm) になった高校生のときに80 kgを超え、それ以来ずっと90 kg前後を維持していました。

10年ほど前から、健康診断でイエローカードをもらっていましたが、特に体調が悪いわけでもないので放置していました。再検査を受けず、毎年イエローカードをもらうだけです。3~4年前から、不思議なことに体重が落ち始めました。食生活には大きな変化がないのに、90 kgだった体重が80 kgを切ったのです。ずっとデブだといわれていたので、この自然な減量は大歓迎でした。

その頃、もう1つの変化が起きていました。勃起不全です。同時に、ときどき目がかすんで新聞や雑誌が読みにくいとも感じていました。毛髪が薄くなり始めたこともあり、自分に訪れたこれらの変化を、加齢によるものと自己判断しました。

目のかすみは、老眼のせいだろうと考えていたのです。最後の転機が訪れます。ある朝、出勤のために草を運転しようとすると、いつもよりかすんだ目のせいで信号がよく見えません。さすがに、それでは危険だからと、近くの眼科を受診しました。すると、眼科医は目を一瞬見ただけで診察をやめ、こう宣告します。「あなたは、私では手に負えません。紹介状を書きますので、内科を受診してください。

紹介された内科を受診し、眼科医の見立てどおり糖尿病と診断されました。自宅に帰り、インターネットで糖尿病を調べてみると、気をつけるべき兆候という記事がありました。それらは、どれもが自分に当てはまっていました。急な体重減をはじめ、ここ何年かはやたらと喉が渇くためにお茶や水をガブ飲みしていたこと。勃起不全、目のかすみ、手足のしびれ… 。

ギター演奏が趣味でしたが、自分の手のしびれが腱鞘炎のせいだと思っていたことも、マイナス要因でした。幸い、腎臓のほうにはさほどのダメージがなく、悪かった血液の数倍も順調に改善していきました。

内科医には、「優秀です。この調子で続けましょう」とほめられました。ところが、大きな病院でレーザー治療を受けた目のほうには視力改善の兆しがなく、「現状では、よくて現状維持」と担当医に言われています。

糖尿病は、血管や神経を傷つけます。血管は目に、神経は勃起不全と手のしびれとして表れました。こうした兆候を自覚しているか、健康診断で異常が出たりした方は、絶対に放置してはいけません。「気づいたときにはもう遅い」とならないためにも、ダイエットが欠かせません。

いびきを甘くみてはいけない

日本では糖尿病の合併症による透析患者が増えている

こちらのとおり、人工透析は腎症患者さんに対する治療です。特に、腎機能が正常時の30% を下回った状態を腎不全といい、そうなってしまったら大変です。腎臓が機能を失ったら、二度と取り戻すことはできないからです。そうなると、人工透析を導入するか腎臓移植を受けるしかありません。

[PR] 腎不全の元凶 AGE を9割以上吸着する「純炭粉末」

しかし、移植に関しては世界的にドナー(臓器提供者) が不足しており、日本では特に長期の待機を強いられています。つまり、ほぼすべての腎不全患者さんが自動的に人工透析を導入することになります。

多くの場合は、血液透析という方法の人工透析です。これは、血液をいったん体外に取り出し、ダイアライザーという機器で浄化して再び体内に戻すというもの。何度も針を刺すことになるので、前腕にシャントという太い血管を造設します。

シャントとは、手術で一部を動脈につないで血流を増やした静脈のことです。ここで思い出していただきたいのは、糖尿病が血管と神経を傷める病気であること。腎症には2種類あり、もともと腎臓に何らかの障害があるものと、糖尿病によって腎臓が悪化したものです。

近年の日本で増加の一途にあるのは、後者のほうです。糖尿病によって血管が弱っていると、せっかく造設したシャントもたびたびトラブルを起こすことになります。針を刺しやすくするために太くしたのに、血流が悪くなったり詰まったりするのです。そうなると、再手術を受けるしか手立てがありません。

現在、日本の透析患者さんは増え続けています。数年前には、27万人とも28万人ともいわれていましたが、最近ついに30 万人を突破しています。これはもちろん、糖尿痛患者さんがそれだけ増えていることの証明にほかなりません。一刻も早く、糖尿病への抜本的な対策が必要なのです。

糖尿病 | 健康メモ

糖尿病のホントのリスクは合併症にある 糖尿病性網膜症 糖尿病性腎症 糖尿病性神経障害など

糖尿病は非常に恐ろしい病ですが、痛みもかゆみもないため、本人にはまったく自覚がありません。通院をやめてしまう人もいるのは、そのためでしょう。放置してしまう人が多く、後を絶ちません。

しかし、長い間にゆっくりと少しずつ確実に全身をむしばんでいきます。気づいたときには取り返しのつかない状態…とならないよう、日頃からの注意と生活習慣、食習慣、運動習慣が必須です。

糖尿病の本当の怖さは、合併症。急性合併症と慢性合併症がありますが、ここでは慢性のほうだけをご紹介しましょう。次の3 つが、3大合併症と呼ばれる病気です。

  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経障害

最初の糖尿病性網膜症は、目の奥にある網膜という部分の血管が悪くなる病気。非常に細い血管ですが、ひどければ、失明に至ります。次の糖尿病性腎症は、腎臓の糸球体という部分の血管が悪くなる病気です。この血管は網膜と同様に非常に細い血管です。

腎臓の働きが低下して尿をつくれなってしまうので、その作業を機械に代行させる人工透析が必要になります。人工透析は1 回4~5時間、週3 回の通院を強いられるため、仕事や日常生活に大きな支障が出ます。これまでと同様の生活は送れないでしょう。しかも、その生活を一生続けなければなりません。

最後の糖尿病性神経障害は、主に手足の末梢神経が変調をきたす病気。症状の出方は人によってさまざまですが、最悪の場合には足の指などに壊痕を起こし、切断を余儀なくされるケースがあります。

日本では、糖尿病性網膜症から失明する人が年間3000人もいて、人工透析を導入する人が年間1 万人ずつ増加しています。

人工透析と聞いても、点滴と同じようなものだと軽く考える人が多いのですが、とんでもありません。人工透析は、血管内にたまった3 日分の尿を、機械で強引に浄化する作業です。血圧が一気に下がるので、治療後もフラフラしてしばらく立てない人もいます。

水分摂取に厳しい制限がある上に治療スケジュールが完全に決まってしまうため、夏の暑い日も冬の雪の日も通院しなければなりません。東日本大震災のとき、被災地に住む透析患者さんたちを北海道や関東の施設が受け入れて救済したのは、こうした事情があるためです。

自宅の近くに病院があればまだいいのですが、離島や僻地となるとそう簡単にはいきません。通院のために片道2時間かかれば、それだけで1 日がつぶれます。透析患者さんには、そんな気の遠くなるような労力が一生必要になるのです。

血糖値の高い血液は血管を傷つけます

そして、糖尿病の合併症が現れるのは、目や腎臓や神経であるとも書きました。目や腎臓は、毛細血管が細かく入り組んでいる部位。鏡をのぞくと、白目の部分に細い血管がたくさん集まっているのがわかるはずです。こうした血管が狭くなったり詰まったりした結果、失明や腎不全を引き起こすのです。

大動脈のような太い血管なら、カテーテルという細い管を入れて内側から修復する治療が可能ですが、毛細血管にそれはできません。どの合併症にせよ、そこに至るまでは最低でも10年はかかっているはずです。できるだけ早く対処すれば、失明や人工透析や、足の切断は避けられるのです。

もちろん、糖尿病そのものも予防できるのですから、その最大の原因である肥満に自覚のある方は、今すぐダイエットを始めるべきです。

[PR]糖尿病の合併症の原因「AGE」を強力に除去し、低下した腎臓機能の毒素排泄を助ける ダイエット効果にも注目が集まる

糖尿病は血管と神経を傷つける病気 合併症が怖い

糖尿病の合併症を読むと糖尿病という病気はそのものの病気よりも合併症が怖いことがよくわかります。

糖尿病は、血液に含まれる糖分が多すぎる病気です。その発見は古く、紀元前のエジプトやインドの文献に記録が残っています。インドの文献には、「蜜の尿」という表現がなされ、「甘いのでアリが集まってくる」と記されているそうです。

「糖尿病という名前なんだから、おしっこの病気じゃないの? 」と思われる方もいるでしょう。確かに、「血糖病」などとしたほうが、より直接的だったかもしれません。でも、血液と尿には密接な関係があります。実は、尿の材料は血液なのです。心臓から出て動脈を通り、酸素や栄養分を体の隅々に届けた血液は、代わりに老廃物を集めて静脈をエ戻ります。その途中で腎臓に立ち寄り、そこで浄化されて必要な成分と不要な成分に分けられます。その不要なものが尿であり、尿には処理しきれなかった糖分も含まれています。それが、紀元前のインドの医師が書いた「蜜の尿」というわけです。

それから長い間、糖尿病は「喉が渇くために大量の水を飲み、したがって大量の尿が出る。その尿は甘く、体中の骨や筋肉が溶け出していき、著しく痩せる。腎臓や目に障害が出る場合もあり、やがて死に至る病気」とされてきました。
糖尿病 | 健康メモ
不治の病として、人類に恐れられていたのです。糖尿病になる原因は、もちろん糖質(糖分) の取りすぎです。しかし、1921 年にインスリンというホルモンが発見されるまで、そのメカニズムが解明されることはありませんでした。

インスリンは、膵臓のランゲルハンス島というところでつくられているホルモンですが、そもそも膵臓の働きがずっと不明だったからです。人間の三大栄養素は、「糖質」「脂質」「タンパク質」。糖質は活動するためのエネルギーになり、脂質とタンパク質は体をつくる材料になります。

活動とは、手足の動作や脳の思考だけでなく、体温調整や心臓の鼓動といった人体機能のすべてを指しています。したがって、糖質は体を動かす燃料といっていいでしょう。この糖質に対して、人体はちょっと不思議な仕組みをもっています。糖質のまま体内に保存することなく、エネルギーが必要なときに適正な形で活躍できるよう、いくつかの形に変身させるのです。

胃や腸で消化された糖質は、いったんブドウ糖などに形を変えます。それが体内に吸収されると、今度はグリコーゲンという形になって肝臓に収納され、必要な状態になると再びブドウ糖に戻って体内に放出されるのです。

そして、この糖質の元になるのが、食事で取り入れた炭水化物。主に、米や麦やイモなどに含まれるデンプンです。糖質と聞くと、ケーキやアイスクリームなどの甘いものを連想するかもしれません。

でも、人間が体内に摂取する炭水化物の大半は、主食(米・パン・麺類) からのもの。多くの日本人は毎日、朝食にトースト、昼食にパスタ、夕食にご飯といった食生活を続けているため、l 日の炭水化物の稔摂取量がものすごく多いのです。炭水化物を食べると、すぐに膵臓が反応してインスリンを分泌します。そのとき、炭水化物はブドウ糖に変身していますが、ブドウ糖は自分だけでは細胞に入り込めません。

異物に人られないよう、細胞が堅牢な城壁で厳しくガードされているからです。そこで、城壁の扉を開ける鍵を持ったインスリンが登場してエスコートしてくれ、ブドウ糖はやっと紳胞の中に入れるのです。

実に複雑な仕組みでしょう? しかし、複雑なものはそのぶん脆弱です。炭水化物をたくさん食べると大量のインスリンが必要となり、膵臓が大忙しになってしまうのです。

それでも、膵臓は頑張ります。せっかく、体のエ、ネルギー源である炭水化物が取り入れられたのだから、なんとしてでも細胞に届けようと必死です。しかし、それでも限界があり、やがて精根尽き果ててしまいます。この状態が長く続き、膵臓のインスリン分泌能力が下がって血液中にブドウ糖があふれてしまう病気それが、糖尿痛です。

糖尿病には、2種類あります。これまで説明した、生活習慣病として中年以降にしばしば起きるタイプのものを2 型糖尿病といい、糖尿病患者の95 % を占めています。もう一つの1型糖尿病は、何らかの理由でインスリンを分泌できないタイプで、先天的なものもあることから以前は小児糖尿病とも呼ばれていました。

糖分を多く含んだ血液は、膵臓を疲れさせるだけでなく、全身でさまざまな悪さをします。最もひどいのは、血管の内側を傷つけてしまうことです。コレステロールのところで触れたように、転んだりつまずいたりして擦り傷をつくるとかさぶたになり、しばらくすると新しい皮膚が形成されて傷口がふさがれます。

これと同じょうに、傷ついた血管の内側にもかさぶた(プラーク) ができます。プラークは、1 カ所ではなく血管のあちこちにでき、時間をかけて治ったり傷ついたりを繰り返します。すると、その部分のプラークはだんだん盛り上がり、やがて血管を狭くしていきます。これきを狭窄といい、狭窄は血管の厚みが増したのと同じ状態ですから、触ると硬く感じられます。

これが、悪名高き動脈硬化です。プラークは、何かのはずみで血管からはがれることもあります。はがれたプラークは血流に乗って移動し、細い血管や別の狭窄などに引っかかって停止します。これを血栓といい、止まった位置が脳であれば脳血栓、肺であれば肺血栓と呼びます。

また、血管の一部が血流の圧力によってふくらんだものを動脈癌といい、脳のそれが耐え切れずに破れてしまえば脳動脈癖破裂、つまり脳内出血やクモ膜下出血です。

血管に狭窄があれば、血流も滞ります。プラークはどんどん隆起を進め、無症状だったときには10だった血流が8 になり、6 になりと悪化していきます。そうして血管に狭窄が増えると、心臓は血液を送り出す力を強めます。

これが、高血圧です。狭窄が進んで、完全に血管が詰まってしまった状態が塞栓です。その先の血管に血液が行けないのですから酸素や栄養が届けられず、やがて周辺の細胞は死んでしまいます。それが脳なら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞というわけです。

ちなみに、脳卒中というのは「脳に中って倒れる」という状態を示す言葉で、病名ではありません。脳梗塞、脳内出血、クモ膜下出血などの総称です。脳卒中も心筋梗塞も、昔は不治の病でした。今は、血栓を溶かす注射や、カテーテル術と呼ばれる血管内治療などが進化したおかげで、軽度のものなら治療できる時代です。しかし同時に、命は助かったものの、半身不随などの重い後遺症が残ってしまうケースも少なくありません。

その原因となる動脈硬化は、それほど怖いのです。この項では、動脈硬化の原因を高血糖としました。それ以外にも原因はあり、喫煙、ストレス、極度の肥満、老化などがあげられています。あえて「高血糖= 血管を傷つける」と強調したのは、糖尿病の合併症の怖さに触れなければならないからです。

動脈硬化はこうして起こる

メタボリックシンドロームの意味

ダイエットには正しい知識が不可欠ですので、発信者は常に正確に伝えようとする気持ちがとても大切です。

医学用語の連発はなるべく避けたいのですが、簡単な言葉に置き換えることもできない部分もあります。

肥満やメタポリックシンドロームについての医学的な説明をしていきます。

ダイエットを必要とする、つまり肥満の状態にある人にはさまざまな体の変調を引き起こす危険があります。しかも、それらの症状は互いに影響し合い、Aが悪い人はBも悪くなり、B が悪い人はAも悪くなりやすいという特徴をもっています。

食事・飲酒・喫煙・睡眠不足・ストレス・環境要因などが引き金となって、体が悲鳴を上げるのが生活習慣病です。以前は成人病と呼ばれていましたが、未成年でも発症する場合があるなどの理由から、生活習慣病と改称されました。

これ自体は病名ではなく、生活習慣の乱れによって起こりうる症状の総称です。そういった事情から、生活習慣病にはいくつもの疾患が含まれます。がんも生活習慣病の一つですが、最も有名なのはやはり糖尿病でしょう。同時に、糖尿病はメタポリックシンドロームの代表格でもあります。

このメタポリックシンドローム。最近よく聞くようになった言葉ですが、細かい定義をきちんと理解している方は少ないものです。日本語に直訳すると「代謝症候群」という意味なのですが、そう説明されても余計にややこしくなるだけでしょう。

でも、大切なことなのでわかりやすく説明していきます。まず、「代謝」とは、体外から取り入れた物質を元に新たな物質を合成するなどして、エネルギーの出入りをする体内機能のこと。人間はもちろん、ほかの動物でもこの機能が働くことで、生命維持に大きく寄与しています。

一方の「症候群」とは、ある1つの原因によって生まれる、一連の身体・精神症状のこと。有名なところでは「エコノミークラス症候群」があり、これは長時間の飛行機搭乗などで同じ姿勢を強いられたことから血液の流れが悪くなり、その結果として血栓(血液の塊) ができてしまって呼吸困難などを引き起こす病気です。

蛇足ですが、エコノミークラス症候群を防ぐには水分摂取が重要です。

エコノミークラス症候群 | 桜島 活泉水による水分補給の効果

10年ほど前、サッカーの元日本代表の高原直泰選手が発病したことをご存じの方もいらっしやるかもしれません。ただし、高原選手が実際にはビジネスクラスを利用していたように、狭いエコノミークラス以外でも発病することを理由に「ロングフライト症候群」とすべきではないかとの声もあります。

ほかには、トラックやタクシーの運転手が発病した例もあるそうです。さて、メタポリックシンドロームに戻ります。その定義は、「内臓脂肪型肥満のうち、高血圧・高血糖・脂質異常症の二つ以上を合併した状態」です。つまり、内臓脂肪型肥満の人でも、たとえば脂質異常症のひとつしか症状がないのであれば、メタポリックシンドロームには該当しないことになります。

脂質異常症という言葉を聞き慣れない方がいらつしやるかもしれませんが、これは2007年まで高脂血症と呼ばれていた症状が改名したもの。文字どおり、血液に含まれる脂質の量が多すぎるか少なすぎる症状だと考えてください。

よく、タブツとした下腹をボンボンとたたきながら、「このメタボ腹が」 と言っている人がいますが、それは皮下脂肪。メタポリックシンドロームは内臓脂肪過多がベースなのですから、正確にいえばそれは誤りです。

付け加えると、内臓脂肪はどちらかといえば女性より男性のほうにつきやすい傾向があります。ですから、女性が下腹をたたいて「メタボ腹」と言っても、用語の間違いであるケースが多いのかもしれません(ただし、閉経後の女性は閉経前に比べて内臓脂肪のつきやすさがずいぶん上がります)。

でも、安心しないでください。ウェスト周りに脂肪がついている人のほとんどは、皮下脂肪も内臓脂肪もついているものです。一見すると痩せているのに、実は内臓脂肪だらけという「隠れ肥満」 の人もいます。

隠れ肥満についての詳細はこちらです。

ひと昔前までの医療には、内臓脂肪の概念さえありませんでした。コンピューター断層撮影装置(CT)が発明され、人体を輪切りにした画像を撮影できる技術が確立したことによって、やっと判明した医学的事実です。

日本では2008年から、特定健診が義務化されています。これは厚生労働省が国民に対し、増え続ける生活習慣病への意識改革と啓蒙を意図したもので、そこに、メタポリックシンドロームの概念を持ち込んだというわけです。診断の目安として、男性では腹囲約85 cm以上、女性では腹囲90 cm以上( ウェストではない点に注意)などといった規定があり、それが多すぎるとか少なすぎるとか、さまざまな議論が今も続いています。

日本と海外では規定が異なり、国内でも各学会が提唱する数値が違うのが現状ですので、これはしばらく収束することはないでしょう。

いずれにせよ、メタポリックシンドロームとは内臓脂肪型肥満を原因に、代謝という大切な体内機能にさまざまな異常をきたす可能性の高い状態のことだと考えてください。すべての根源は、肥満です。

関連ページ:

「酵素入り青汁 リッチグリーン」で脂肪も分解し、腸を活性化 | サプリ 効果

 

食物繊維が便秘の原因になっているという場合も

低カロリー・低コレステロールダイエットでは、タンパク質や脂肪分を抑えるとともに野菜の摂取をすすめています。そのとき、特に推奨されるのが、ゴボウ・ダイコン・キャベツなど繊維質の多い野菜です。

じつは、これも、まったくの間違いです。日本人はもともと、便の量が多い人種です。それを、思い切りいきんで出すのが気持ちいいために、しやがんで排泄するスタイルの和式便器ができました。

便の量が少ない欧米人は、座って排泄するスタイルを選びました。繊維質は、胃腸では消化できません。食べてもそのまま排泄するしかないので、便が大きくなるのです。同じ茶色で識別しにくいのですが、ゴボウなどは消化されずに便に含まれています。わかりやすいのは、トウモロコシ。黄色い粒が消化されないまま、便と一緒に排泄されるのを見たことはないでしょうか?

あれが、いい例です。大腸内視鏡検査でも、食べたものが腸内に残っていると検査ができないので、受ける方は前日9 時以降の食事が禁止となります。

さらに、検査前の食事の注意として、「野菜・海藻・果物・豆類が入った食事は避けてください」などという通知もされます。内視鏡検査を受けた経験のある方はご存じでしょうが、コンニャクもダメ。野菜がダメなのですから、根菜もアウトです。

果物でいえば、リンゴもバナナもアウトです。ちょっと考えてみれば、これはずいぶん矛盾した話です。一方で、「ダイエットのためには野菜が一番。特に、消化のいい繊維質を増やしましょう」としておきながら、もう一方では「繊維質は消化に悪いので、内視鏡検査の前には食べないでください」です。

どちらが正解かといえば、後者です。現代の医学では、繊維質は消化できないということがはっきりとわかっています。では、便秘症の方が便通をよくしようと、繊維質のものをたくさん食べたらどうなるでしょう。逆に、かえって便秘を促進してしまうだけです。

若い女性は、サラダが大好きです。コンビニやスーパーの惣菜売り場に行くと、購買欲をそそるパッケージの商品も大量に並べられています。でも、それらは単に商魂によるものであって、女性の健康を考えてのことではありません。女性がサラダを食べるのは、健康のため、便通のため、あるいはダイエットのためなのでしょうが、すべては逆効果。

これもまた、間違った情報を世間に流した誰かが悪いのですが、そろそろ正しい情報に書き換えるべきではないかと思います。もちろん、繊維質志向のベースにあるのは、低カロリー・低コレステロールダイエットの迷信です。この間違ったダイエット法は、日本人の便秘を増やす原因になり、ひいては痔を増やす結果にもつながっているのです。

脂肪を食べても太らない

おなかの周りにつくのは脂肪。食べるのも脂肪です。となると、脂肪を食べたらおなかにくつつきそうですが、それはまったくの間違いです。

おなかの脂肪は、さきほど登場した中性脂肪です。ところが、食事で中性脂肪を摂取しても、消化という機能で分解されてしまうので、おなかにはつかないのです。

食べた中性脂肪は、小腸で分解されてカイロミクロンという物質になります。このカイロミクロンの役割は、脂肪の吸収を抑えること。

つまり、もともと脂肪だったものが体内に入ると、今度は脂肪の吸収を抑える役割に変わるのです。こうして、人体には脂肪の量を自動調整する働きが備わっているわけです。同様に、コレステロールにも自動詞整機能があります。その働きによって、コレステロールを多く含む食品をたくさん食べても、体内にあるコレステロールの総量は変わりません。

さきほども述べましたが、体内のコレステロールの8 割は肝臓でつくられ、残りの2割が食事からのもの。たくさん食べても、影響はないのです。

脂肪を食べたら脂肪になると思ってしまうのは、無理からぬことです。同じように、脂身のたくさんついたモツを見ると、「コラーゲンいっぱいで、お肌がプルプルしそう」と感じるのも当然かもしれません。でも、本当はその間に消化・分解・吸収という人体の働きが加わるので、もともとの形のままでは存在できないのです。

人間をデザインしたのが神様なら、神様は実に素晴らしい仕事をされたものです。繰り返します。脂肪やコレステロールは、それをいくら食べてもおなかの脂肪にはなりません。したがって、太ることもありません。

中性脂肪やコレステロール値は高い方が長生きできる

アメリカと同様、日本でもこれらの調査を行っている研究者がいます。たとえば、東海大学医学部のグループは、大規模なコホート研究(ある一定のグループを長期間にわたり追跡調査する手法) をいくつも実施しています。

神奈川県在住の約2万6000人を調査したデータでは、LDLコレステロール値が100mg/dl以上の人と99mg/dl以下の人に分けた場合、男性では99mg/dl以下のグループのほうが死亡率が高いという結果になりました。

一方、女性のほうは男性と違って1120mg/dlあたりに境界線がありましたが、こちらも数値の大きい人のほうが長生きできるという結果でした。

いずれの性別でも、数値が90 、80、70 と下がっていくほど、死亡率も高くなるという共通点がありました。

同じ研究は、茨城県在住の9万1000人を対象にしても行われ、こちらでも神奈川県とまったく同じ結果が出ました。LDLだけでなく、総コレステロール値においても結果は同様で、がん・脳卒中・心筋梗塞を発症するリスクについても、数値が高い群のほうが低い.結果になりました。

神奈川県は8年以上、茨城県は10年以上に及ぶ追跡調査です。これだけの大規模調査ですから、ここで出たデータは信用に足る内容だといえます。

大げさにいえば、「コレステロール値を下げると早死にする! 」となるでしょう。東海大学のグループは、中性脂肪に関する調査も行っています。こちらもコレステロール同様、数値が高めの群のほうが長生きするという結果でした。

これらのデータから導き出される結論は、「日本人は、コレステロール値が高いほうが長生き」と、「日本人は、中性脂肪値が高いほうが長生き」の2つ。

これはもう、新たなエビデンスを創出したといってもいいでしょう。そして、このエビデンスが示すもう1つの事実といえば、低カロリー・低コレステロールダイエットがまったく無意味だということです。

ただし、一点だけ注意してください。コレステロール値が高い人の中には、家族性高脂血症という病気の方がいます。患者数はごく少ないのですが、この病気の方だけはコレステロール値が高くならないようにコントロールする必要があります。

コレステロールの酸化が動脈硬化の原因に

コレステロールは私たちの体に必要不可欠

コレステロールに悪玉も善玉もないことをお話しましたが、次に、コレステロールがどんな役割をしているかについてです。

その最大ともいえる働きは、細胞膜をつくること。人間は約60 兆個の細胞でできていますが、タンパク質とともにその膜(細胞を部屋にたとえれば、天井や床や壁の部分) を構成しているのがコレステロールです。

もう一つの役割は、ホルモンの原料になること。ご存じのとおり、ホルモンは体内で合成され、体を活性化する物質です。有名なところでは男性ホルモンや女性ホルモン、難しく名前のものでは甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなどがあり、それらのすべてはコレステロールでできているのです。

たとえば、私たちがつまづいて転んで擦り傷をつくると、かさぶたができて自然に治癒します。このとき、肝臓から患部に急行してかさぶたをつくるのも、コレステロールの役割です。

破れた皮膚から異物が混入しないよう、大急ぎで傷口を覆っているのです。そのため、全身に大ケガをした直後に健康診断を受けると、血液の悪玉コレステロール値はものすごく高い値になるはずです。

細胞膜をつくり、ホルモンをつくり、ケガをするとかさぶたをつくつて体を守ってくれるコレステロールは、こんなにも大事な役割を果たしているのです。このほか脳や神経、消化液などの原料でもあります。これだけ見ても、コレステロールが人体に欠かせない重要な物質であることがわかります。

コレステロールがなければ、細胞膜もホルモンもつくれません。けっして、体に害を及ぼす悪玉物質などではないのです。HDLコレステロールとLDLコレステロールの違いは、LDLが全身に運ばれる新品であるのに対し、HDLが使用済みの中古品だということ。

つまり、細胞膜やホルモンの材料となるのがLDLであり、役目を終えて回収されるのがHDLです。

体内のコレステロールの8 割は肝臓でつくられており、残る2割が食事からの摂取。肝臓に集められたHDLコレステロールは、そこで新たに再生されます。

こうしてコレステロールは、生産→ 運搬→ 活動→ 回収→ 再生という流れを繰り返していくのです。

LDL は、全身に届く新鮮なコレステロールのことなのに、悪玉などと間違ったネーミングをされてしまい、本当にいい迷惑です。

こうして残念なことに、コレステロールは体に悪いものとして認識されてしまいました。発端は、LDLコレステロールが心筋梗塞の原因だと考えられていたことでした。

国民の死因の第1位が心筋梗塞であるアメリカでは、心臓や血管関係の研究も盛んに行われています。

あるとき、動脈硬化を起こした血管を調べたところLDLコレステロールが発見されたため、コレステロール1 動脈硬化1 心筋梗塞との連想がなされたのです(後になって、このとき見つかったのはごく微量だったという事実が判明しました)。

1988年、アメリカはコレステロール悪者説を根拠に、新たな心筋梗塞撲滅プロジェクトを始めました。肉類をはじめ卵や乳製品の摂取を控えさせ、コレステロール値の高い人には低下薬を飲ませるという努力です。その結果、アメリカ人のコレステロール値は驚くほど下がり、日本人よりも低くなりました。それなのに、アメリカ人の心筋梗塞発症率は依然として高いままで、日本人の3倍もあります。

国民の体を使って行われたこの国家プロジェクトは、失敗に終わってしまったのです。この経験から、アメリカはすでにコレステロール悪者説の間違いに気づき、新たな説へと移行してきています。

「低カロリー・低コレステロールダイエットを進めても心筋梗塞は減らなかった。だったら、その間に食べていた別のものに問題がある」とわかったからです。

調べてみると、コレステロールを減らすためにステーキを避けた人たちが、代わりに口にしていたのは炭水化物でした。アメリカで日本食が大ブームになり、スシバーの開店ラッシュがあったことを覚えていると思います。それが日本に逆輸入され、アボカドを使った巻き寿司などがもてはやされました。

ちょうどその頃が、コレステロールを減らす国家プロジェクトの実施時期と重なります。コレステロールを控えるために、アメリカ人は炭水化物を食べました。国民の健康を思って行われた国家プロジェクトは心筋梗塞を減らさないばかりか、かえって肥満や糖尿病を増やしてしまうという残念な結果に終わりました。

さて、ここで1つのキーワードが出現しました。炭水化物です。この後も繰り返し登場させますが、まずはこう覚えてください。肥満の原因になる栄養素はただ1つ、炭水化物しかありません。

コレステロール関連リンク:
ストレスがたまると中性脂肪とコレステロールが増える