中年以太りと筋肉との関係

「中年太り」がカツコ悪いのは、「脂肪が多い」からだけではありません。「筋肉の量が減っている」ことも、カツコ悪さの
原因です。
歳をとると筋肉の量が減り、筋力も衰えてきます。それで、少し走っただけで足が上がらなくなったり、ひどい筋肉痛に悩まされたりするのです。

筋肉の量は、マメに運動をしている人でも、加齢にともなって減少していきます。この筋肉の量の減少が、「中年太り」の根本原因なのです。
筋肉がどの程度減少するかは、部位によって異なります。

たとえば、腕の筋肉は歳をとってもあまり減りません。ところが、体の中でもっとも大きい太ももの筋肉は、一般に40代では20代の約90%、60代では20代の約70%にまで減少すると言われています。

では筋肉が減るとどうなるか?。その分、細くなるのではありません。減った鳥肉はその分、脂肪に置き換わります。これが、「体脂肪」と呼ばれる脂肪です。肥満は、エネルギーの「摂取」と「消費」のバランスが悪くなることで起こります。

摂取エネルギーは、食べたり飲んだりする量が多いほど、また、カロリーの高い食材が多いほど増えます。そして摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、消費されずに残ったエネルギーが体脂肪となり、それが蓄積されて肥満になるのです。消費エネルギーは、「体を維持するエネルギー」と「体を動かすエネルギー」の2つに大きく分けられます。ここでポイントになるのは「体を維持するエネルギー」。
体はじっとしているときでも、呼吸をしたり、体温を保ったり、心臓を動かしたりと、「体を維持するエネルギー」が必要です。これを「基礎代謝」と言い、その量を「基礎代謝量」と呼びます。「体を維持するエネルギー」は、おもに筋肉でつくられます。つまり、筋肉の量の多い人は基礎代謝量が多く、筋肉の量の少ない人は基礎代謝量も少ないということになります。ですから、筋肉の量が減ると基礎代謝量が低下し、摂取エネルギーの量が消費エネルギーの量を上回って「太りやすい体」になります。

そして、お腹が徐々に出てくるわけです。これが、「歳をとると太りやすくなる」仕組みです。基礎代謝量は、10代後半にピークに達して以降、低下していきます。40代を境にして、その低下の度合いが大きくなります。これを放っておけば、50代から60代になるとガクンと落ちます。
ここに、40歳になったら、「太らない体」をつくらなければならない理由があるのです。基礎代謝量は性別、年齢、体重によって異なります。各年代の平均的な基礎代謝量は、「基準体重×基準基礎代謝値」で求められます。「基準体重」はそれぞれの年代の平均的な体重で、「基準基礎代謝値」とは、体重一キログラムあたりの消費エネルギー量です。男性の年代別の一日の平均的な基礎代謝量は、およそ以下のようになります。

数字から見る「中年以降が太りやすい理由」

基礎代謝量kcal 1550 1500 1350 1220
年代 20代 30~40代 50~60代 70代
平均体重 64.5 67.0 63.0 57.0
平均基準基礎代謝値(kcal) 24.0 24.0 22.3 21.5

平均基準基礎代謝値を見ると、20代→30~40代→50~60代のところが太る太らないの境目になっていることがわかります。

これはあくまでも目安ですが40代を無為に過ごすと、10年後、20年後に大きな落差となって自分にはね返ってくることが、おわかりいただけると思います。

年をとっても「若さを感じるフレッシュ」な習慣

太りやすい体は体からどんどん若さを失います。「太りやすい体」は老化の象徴のようなものですから、それも当たり前の話です。
「体が太る」と、「髪が薄くなった」「顔にシワやたるみができた」「視力が低下した」「息切れがする」といった老化現象が、しだいに現れてきます。

逆に言えば、「太らない体」をつくれば、若ささを保てるということです。「太らない体」は、食事と睡眠、適度な運動など、普段のした工夫によって簡単につくることができます。
「太りやすい体」は老化によって生じるのですから、若い体は「太らない体」と言ってもよいでしょう。「太らない体」の具体的なつくり方については、2章以降で紹介します。

「人間は外見じゃない。中身だよ」などと言いつつ、「人からどう見られているか」はつねに気になるものです。ファッションだけではなく、体そのものが実年齢より若く見られるとうれしくなります。たとえば、40代になってはじめてのクラス会かつての級友と自分を比べて「自分はまだ若い」と安心したり、「自分は老けたな」とショックを受けたりするものです。みんな同じ歳なのに、40代は「うらやましいほど若々しい人」と「妙に老けている人」の違いがハッキリ出てくる世代と言っていいでしょう。

「40代は、体の曲がり角」なのです。とくに、男性は女性に比べて、この変化の個人差が激しいようです。それには理由があります。
この時期、男性ホルモンの分泌が少なくなりはじめるからです。その影響で、人によっては骨格や筋肉が衰えたり、体力、気力が弱くなります。それが「40代でも若い人」「40代で老けた人」の差なのです。
ですから、お腹が出はじめたら、「オヤジ」っぼくなるのも時間の問題だと思わなければなりません。「見た目」は、老化速度のバロメーターなのです。
さらに「太らない体」は、それだけで生活習慣病の予防になります。すでに生活習慣病を持っていても、「太らない体」をつくれば、その改善が図れます。また、50代、60代でお腹が出ていたとしても、「太らない体」への改造は可能です。この方法は「アンチエイジング(抗加齢) 医療」に基づくもので、肌にハリやツヤが戻るといった美容的な若返りも間違いなくできます。

40歳代から太り始めるのは老化が原因

人の体は、40歳前後になると「太りやすい体」に変わってきます。いわゆる「中年太り」です。男女ともに、40歳前後になると、いつお腹がポッコリしてきてもおかしくない仕組みが、体内にでき上がってしまうのです。
これは象徴的な老化( エイジング) 現象の1つ、と言っていいでしょう。

老化とは、歳をとること(加齢) で体の機能が低下すること。さまざまな細胞や器官が衰えて、本来の役割を果たせなくなります。
だから太りやすくなる。これが「太りやすい体」の正体だったのです。こう書くと、「まだ、そんな歳じゃない! 」と思う人もいるでしょう。ただ、残念ながら、40歳前後になると、体は確実に老化が始まります。

20代や30代など若い人の肥満は、食べすぎと運動不足がおもな原因です。っまり、食べたり飲んだりすることで得られたエネルギー( 摂取エネルギー) の量が、体を維持するために必要なエネルギーや運動するために使われるエネルギー(消費エネルギー) の量を上回ると太るわけです。

ですから、若いころの肥満というのは、人にもよりますが、食事の制限や運動などのダイエットでわりと簡単に解消できます。
40歳前後からの肥満「中年太り」も基本的には同じ仕組みです。ただ、若い人の肥満とは、決定的に違う点があります。それは、食べすぎと運動不足だけが原因ではないこと。
ここに老化がプラスされているのです。

老化が始まると、体は取り込んだエネルギーを使い切れなくなります。ですから、食事や運動に気をつけていても、太ってしまいます。っまり、「中年太り」は、ダイエットではなかなかやせられないのです。その意味では、中年である40代以降は「体が太りたがっている」と言ってもいいでしょう。もちろん、体が太りたがっているからと言って、そのまま体を太らせていいはずはありません。
「中年太り」は人生を幸せに生きるうえで大きな問題になります。見た目がカツコ悪いだけではありません。高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす大きな原因になる
「中年太り」は、まさに生活習慣病の温床なのです。お腹の中に体脂肪(体内に寧ろられた脂肪) が必要以上にたまる(内臓脂肪型肥満) と、糖尿病、高血圧、動脈硬化、← 臓病といった生活習慣病が起こりやすくなります。ポッコリしてきたお腹をなでて、「カツコ悪いけど貫禄は出てきたな」などと呑気なことを言っている場合ではありません。