体内の太る原因となる「ゴミ」の排泄方法

「太らない体」づくりで重要なのは、「食べること」より、まず「出すこと」です。つまり、「体の中のそうじ」です。「体内そうじ」で一番重要なのは、消化器のリセット。

体を錆びさせる「活性酸素」の発生を抑え、有害物を体外に排出するために欠かせません。そうすることで、体の機能を正常な状態にします。これが、若返りホルモン「DHEA」の分泌を助けます。消化器のリセットは、まさに体に若さを取り戻し、「太らない体」をつくるための体内環境の整備なのです。私たちは毎日、たくさんの食物を胃腸に送り込んで消化をし、栄養素を吸収して体を維持しています。体の中では胃、小腸、肝臓、すい臓などさまざまな消化器が働いていて、合計すると約5リットルバケツ1杯分もの消化液を、消化器は毎日つくり、分泌しています。
中でも胃液は約1.5リットルにもなると言われています。これだけの消化液をつくり出すエネルギーは、相当なものです。栄養素の吸収のためにも、小腸、肝臓、すい臓などの消化器が働いています。

朝昼晩の食事だけでなく、間食が多ければ消化器は休みなく働き、大きな負担を強いられます。食べること、消化・吸収は、もちろん体の維持に必要不可欠なことです。しかしそれは、消化器の相当な負連のうえに成り立っていることを知っておく必要があるでしょう。

現代人の食事には、消化しにくい食材が多くなっています。とくに、加熱した食材は、きわめて消化しにくい食材です。意外かもしれませんが、肉の場合、生食が消化に一番負担のかからない食べ方です。肉にはもともと肉自体を分解する酵素が含まれています。ところが加熱をすると、その酵素が壊されて消化しにくくなります。といっても、いつも肉の生食というわけにはいきません。ステーキにするのなら、ウェルダンよりもレアやタルタルステーキのほうが胃への負担が軽くなります。

米や麦などの穀類は、煮炊きするか、パンのように酵母の助けを借りないと消化・吸収できません。しかし同時に、加熱によって食材が持っていた自然の消化酵素が壊され、消化に負担のかかる食材になってしまっています。野菜や果物は生で食べられますが、これだけで必要な栄養素を満たすのは困難です。

また、生の野菜、果物は体を冷やす働きがあるため、体質(冷え性など) によっては食べ方に注意すべきです。
体を“ホット”に温める食品選びとその調理方法などが参考になります。冷え症体質の人には火を通した調理法、肥満防止には生食がいいのでバランスを考えるようにします。

このように、食事をとっている以上、消化器への負担は避けられません。消化器に負担のかかりにくい食事を心がけるとともに、消化・吸収の機能を休ませてやることが大切です。体を傷めつけないためにも、「間食をやめる」「食事の間隔を十分にあける」といったことを心がけなければなりません。食事の間隔は、6時問ほどが適切です。そして同時に、排泄の機能を高める必要があります。まず、正しく出す方法を知るこれは、「太らない体」をつくる必須条件です。消化機能と言うと、どうしても消化と吸収が優先され、排泄は後回しにされやすいのですが、排便は排尿、発汗、呼気とともに老廃物、有害物を取り除く「体内掃除」の手段です。排泄機能を高めることは「太らない体」づくりだけでなく、健康維持にたいへん重要な役割を果たしているのです。

寝る前のストレッチが体を柔軟にする

「太らない体」をつくるための「軽い運動」の最後は、ストレッチです。じつは、「太らない体」は「やわらかい体」とも言えるのです。

有酸素運動にも筋力トレーニングにも、事前、事後のストレッチが欠かせません。事前のストレッチ(準備運動) は体を温め、筋肉や関節をほぐして動きを良くします。事後のストレッチ(整理運動) は、筋肉の血流を良くし、疲労回復を早めます。筋肉は加齢にともなって柔軟性が低下し、硬くなってきます。

筋肉が硬くなると、関節の動く範囲(可動域)が狭くなり、動かしたときなどに無理がかかりやすく、ケガをするリスクが高くなります。ストレッチで筋肉をゆっくり伸ばすこれを繰り返していると柔軟性が高まります。すると筋肉や関節にかかる負担が軽減され、ケガを防げるというわけです。

また、「ストレッチを続けることで高血圧が改書される」「乗鞍世の高い人は動脈硬化度が低い」ということもわかっています。さらにストレッチには「太らない体」をつくる効果もあります。

それは「リラクゼーション効果」があるからです。これは最近、明らかになってきたことです。30分くらいかけて全身の筋肉を順番に伸ばしていくと、脳波にはアルファ波が増加します。ストレッチによってストレスがやわらいで気分も安定し、ホルモンのバランスもよくなり、疲労回復も進むのです。

ストレスは、正常なホルモン分泌を妨げ、結果的に「太る体」のもととなります。1日の終わりに、ほんの5分のストレッチで、その日のストレスを解消する。これも「太らない体」をつくる習慣なのです。ストレッチには、4つの注意事項があります。

  1. 時間を20秒以上かけてゆっくり伸ばすこと。反動はつけないようします。
  2. 伸ばす筋肉や部位を意識して行なうこと。
  3. 痛みがなく、気持ちがよい程度に伸ばすこと。痛みが起こると、筋肉が硬直して効果が低下します。
  4. 呼吸を止めないこと。ゆっくりと深い呼吸をしながら、筋肉を伸ばします。胸部を圧迫するようなポーズでは呼吸が止まり、血圧が上がってしまうおそれがあるので、呼吸を意識して行ないましょう。

ストレッチを行なうときは、全身の筋肉をくまなく伸ばすのが理想的ですが、20~30分ではできません。したがって、歩くなど運動前は下肢を中心に、デスクワークの後は下肢・腰を中心に、風呂上がりは腹・背・首を中心にというように、そのときどきで伸ばす部位を決めて行ないます。

どの部位でも、伸ばす筋肉(伸筋) と曲げる筋肉(屈筋) が対になつてつくられているので、前後、左右、斜め、ねじりと動く方向に動かせば、その部位の筋肉をまんべんなく伸ばすことができます。私自身は、週一回スポーツストレッチに通い、体の姿勢のケアをしてもらっています。定期的に専門家に姿勢を見てもらうことは、毎朝、鏡で自分の顔を見るようなもので、きわめて重要なことです。

肥満解消に必須の筋肉で大切なのは4つ

「太らない体」をつくるための「軽い運動」には、筋力トレーニングもあります。最近の研究で、筋力トレーニングは若返りホルモン「DHEA」の分泌を良くする、ということがわかってきました。
「DHEA」は加齢にともない、だんだん分泌量が減ってきます。しかし、軽い筋肉運動をしていれば、その分泌が促されるのです。また、筋力トレーニングは、基礎代謝量を増やすのに効果的です。
つまり、脂肪燃焼の効率を上げることになります。当然、筋肉量も増えるので、「中年太り」の予防・解消に重要な運動なのです。基本的な体の動きをつくる筋肉として重要なのは、次の4ヶ所の筋肉です。

  1. ひざを伸ばす太もも前何の大腿四頭筋
  2. ひざを曲げる太もも後面の「ハムストリング筋」
  3. お尻の「大殿筋」
  4. 上体を支える「腹筋群と背筋群」

これら下半身の筋力は、体のバランスを維持し、立つ、歩くという基本的な動きをはじめ、さまざまな体の動きをつくるうえで非常に大切な役割を持っています。

40歳を超えるとこれらの筋力は予想以上に低下して、足が上がりにくくなつたり、もつれたり、つまずきやすくなったりします。下半身の筋肉は歩くことでも鍛えられますが、筋力トレーニーングがもっとも効果的です。筋力トレーニングは成長ホルモンの分泌も促します。

成長ホルモンはおもに睡眠中に分泌されますが、筋肉運動後にも分泌されます。筋肉量を増やしたりする作用があって、若返りにも効果があります。さらに、筋肉運動を継続することによって、骨董が増加したり、男性ホルモン(テストステロン) が増える効果も期待できます。

また、筋肉運動によって生じる乳酸には、普段、大気汚染や水質汚染によって知らないうちに摂取してしまっている有害金属を、排出させる作用があることもわかってきました。

乳酸は運動後に生じるので、疲労物質と見られてきましたが、最近では人体にとって有益な働きをしていることがわかってきました。

このように、筋力トレーニングは有酸素運動に負けず劣らず健康の維持・増進に役立ち、「太らない体」づくり、生活習慣病予防には欠かせない運動なのです。40代、50代は、筋肉が衰えはじめる年ごろです。簡単なものばかりですから、すぐにでも筋力トレーニングを始めましょう。

ただし、動けなくなるほどの過度な有酸素運動と同様、無理をすると筋肉を傷めて炎症を起こします。体内に炎症があると、そこから「活性酸素」が大量発生し、かえつて体の「錆び」を進行させることになってしまいます。有酸素運動にもコツがあるように、筋力トレーニングにもコツがあるのです。