老化を止める方法、まず「酸化・糖化・ホルモン変化」を防ぐ

人間の本来の寿命は、125歳と言われています。しかし実際は、その歳まで長生きする人はきわめてまれです。日本人の平均寿命は83歳、つまりほとんどの日本人は、125歳どころか100歳になる前に亡くなっています。

糖尿病、心臓病、脳卒中、がん…寿命を縮める病気のほとんどが、「老化」がもとになって発生します。この「もと」を抑えることができれば、寿命を縮める病気を予防することができ、いつまでも苦々しく元気でいられるのです。40代はすでに老化が始まっている自分の体が不安になってきた人は、以下の「老化度自己チェック」で調べてみてください。5項目以上にチェックがつけば、間違いなく体の老化が始まっているということです。
そして、本人が気づいていないだけで、すでに老化によって「太りやすい体」になっている人もいるはずです。

そこで、老化そのものを食い止めるようにすれば、今からでも「太らない体」をつくることができるのです。ただし、老化には「止められる老化」と「止められない老化」があります。「視力が低下した」「息切れがする」「顔にシワやたるみができた」「肌が荒れた」「髪が薄くなった」といった老化現象や生活習慣病、がんなどの病気には、「止められるもの」と「止められないもの」があるのです。

「止められない老化」とは、歳をとると必ず起こる細胞やホルモンの機能低下です。歳を重ねると誰もが避けられない老化現象ですから、止めることができません。一方、「止められる老化」とは、どのようなものでしょうか。40代を迎えた体には、「3つの大敵」があります。

  1. 活性酸素による酸化
  2. タンパク質の糖化
  3. ホルモン分泌の変化

「老化度自己チェック」

  1. 駅の階段などですぐに息ぎれをおこす
  2. 食後に胃のむかつきがある
  3. 下痢・便秘をしやすい
  4. 歯磨き時に出血する。口臭が気になる
  5. 息苦しい。または咳やたんが増えた気がする。
  6. イレの回数が増えた。またはときどき尿モレする。
  7. 喚覚、視力、聴力のうち1つでも低下している。
  8. 意欲や記憶力が低くなった気がする。
  9. シミ、シワ、タルミのうち1つでも気になる。
  10. 関節痛がある。または筋力低下が気になる。
  11. 寝つきが悪い。または眠りが浅い、早朝に目覚める

お腹に「ハンバーグ20個分の脂肪

20代のあなたと40代のあなた一番の違いはどこにあるのでしょうか。1日に「食べる量」と「消費する量」を見て、20代と40代とでエネルギー摂取とエネルギー消費のバランスを比較してみましょう。
「消費量」は、体を維持するためのエネルギー消費量(基礎代謝量) と、体を動かすためのエネルギー消費量(活動量) を合わせたものですが、平均的な「活動量」は、「消費する量」の全体の約30%とされています。ということは、「基礎代謝量」は、「消費量」全体の70%。
つまり「基礎代謝量」を基本にして考えれば、「消費量」全体は「基礎代謝量」0.7で割ると求められる、ということです。

この考え方をもとに、まず20代の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを見てみましょう。20代の平均的な基礎代謝量は1550kcalです。これを0.7で割ると「消費量」は約2200となり、そのうち30%の650kcalが「活動量」となります。
摂取エネルギーが、すべて消費されている計算です。一方、40代はどうでしょうか。40代の平均的な基礎代謝量は1500kcal。仮に20代と同じように食べ(摂取エネルギ1220kcal)、体を動かしていたとしても(活動量が650kcal)、基礎代謝量が減っている分、1日に50kcalが余る計算になります。
実際には、40代になれば20代のころより食べる量は減るでしょう。しかし同時に、活動量もガクンと減ります。

仮に食べる量が150kcal(ごはん茶わん1杯分ほど) 減っても、活動量が半分に減れば、毎日、225kcal(ごはん茶わん1.5杯分ほど) も余る計算になります。3ヶ月で2kg。これが体脂肪となって体内にたまってしまいます。3ヶ月で2kgとは、どういうことでしょうか。

極端に言えば、100gのハンバー20個分の脂肪が、あなたのお腹に加わるようなものです。これは放ってはおけません。歳をとると自然に減る活動量を、がんばって20代のころと同じに保ったとしても、「基礎代謝量の低下」という落とし穴があります。「中年太り」は食事量を減らして、運動量を増やすといったダイエットをしても解消できないのです。それよりいい方法があります。

繰り返しになりますが、「太りやすい体」になるのは、老化で基礎代謝量が落ちることが原因です。ならば、その「大もと」の「老化」を抑えればいいのです。その方法は心身の負担にはなりません。日常の生活をちょっと改善するだけでいいのです。それが「太らない体」づくりへの近道になります。

隠れ肥満、いつの間にか太ってしまう

40代になると「隠れ肥満」になる人がいます。一見すると、太ったようには見えなくても、じつは「肥満」という人です。40代になっても、「お腹回りは八85cm以内、体重も30代のころとあまり変わらない」といった人が、じつは結構危ないのです。
安心していてはいけません。それは、40歳あたりから、体重は標準の範囲でも体脂肪率が高い、という人が増えるからです。これが、「隠れ肥満」です。

標準体重という落とし穴

が隠れ肥満を増やす一因になっているようです。

見た目はカツコ悪くなくても、立派な肥満。知らないうちに、病気を引き起こす環境が体内につくられているということですから、気をつけなければなりません。

見た目ではわからないだけに、とても「危険な肥満」と言えるでしょう。こうなると、どんなに昔と体型が変わっていなくても「メタボ(メタポリックシンドローム)」予備軍です。この「メタポリックシンドローム」について、「じつはよく知らない」という人が多いのではないでしょうか。

わが国の基準では、腹回りが男性で85cm以上、女性で90cm以上あると、内臓の周りに体脂肪がたまりすぎた「内臓脂肪型肥満」と見なされます。
同じ肥満でも、若い人の肥満のほとんどは、皮下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」です。皮下脂肪は、つきすぎると体に負担をかけるなど、健康に悪い影響を与えますが、生活習慣病の引き金にはなりません。
むしろ、いざというときに使えるようにエネルギーを貯蔵したり、体を保温したりするという大切な役目を持っています。女性の場合、妊娠・出産には必要不可欠です。

一方、内蔵の周囲にたまった体脂肪は、生活習慣病の原因になります。

そして、この「内臓脂肪型肥満」に、高血圧・脂質異常(血液中のコレステロールや中性脂肪おもに食事からとられた脂肪が異常に多い状態)・高血糖のうち、2つ以上の症状が重なった状態。これが、「メタポリックシンドローム」俗に言う「メタボ」です。とくに、糖尿病や高血圧、動脈硬化、心臓病といった生活習慣痛が引き起こされやすくなっている状態を指します。

では、なぜ40代になると「隠れ肥満」も含め、「メタボ」になる危険性が高まるのでしょうか。それは「基礎代謝量」に関係しています。かりに、あなたが40代、50代で、20代のころと同じように食べ、飲み、活動していると、どうなるか。20代のころと何も変わらない?いいえ。「基礎代謝量」が落ちているため、たとえ同じように活動していても消費エネルギーは格段に低くなっているのです。ズバリ言えば、基礎代謝量の差が、「中年太り」を生み出します。