2014年 12月 の投稿一覧

わかめの味噌汁が体をすっきりさせる

食べるだけで、体をスッキリさせてくれる栄養素があります。それは、食物繊維。文字どおり、食物に含まれる繊維質です。栄養素と言っても、食物繊椎のカロリーはゼロ、栄養分もゼロ。
しかし、食物繊維は、体にとり込まれない代わりに、ほかの栄養素の消化・吸収を調節し、余分な栄養素や有害物質を排出してくれます。食物繊維が「おなかのそうじ屋さん」と言われるのもわかります。

そもそも日本人は、昔から豊富に食物繊維をとっていました。野菜、豆、精製されない穀類などを中心とした日本の伝統食は、食物繊維の宝庫です。ところが、食が洋風化するにつれて、タンパク質、脂質の多い食事に変わり、食物繊維をとる量が大きく減ってしまいました。

厚生労働省の調査によると、昭和30 年代までは、食物繊維の1 日の摂取量は平均22gでした。ところが、現在では15g程度にまで低下しています。それが肥満や便秘、さまざまな生活習慣病を招く要因の1つと指摘されています。

つまり、現代の食生活は、私たちをどんどん「太りやすい体」にしていると言えます。では、1日にどれくらい、どのようにして食物繊維をとればいいのでしょうか。厚労省が推奨する食物繊維の摂取量は、成人で1日19~20g。「わずかな量」と思うかもしれませんが、じつは、食材の量にすると相当な量になります。一般的な野菜には食物繊維が含まれていますが、野菜の1日の適量である350gを食べても、そのうち食物繊維は19~20gに達しない場合が多いのです。

たとえば、乾燥の切干し大根100g中には、20g強の食物繊維が含まれていますが、調理すると3倍以上にカサが増します。これは、およそラーメンどんぶり山盛り1杯分です。とても1日に食べられる量ではありません。

じつは、もっと効率的に食物繊維をとれる食べ物があるのです。それは、キノコや海藻類です。キノコはけんちん汁や鍋物にします。海藻類はサラダ、みそ汁(ワカメ)、ヒジキ煮などにします。これらはかさばらないので量がとれます。ほかの野菜といっしょにとるといいでしょう。

「太らない体」をつくるうえで、食物繊維がどれほどの役割を果たすか、次にざっと挙げてみます。「太らない体」と言っても、やせることを意味するのではなく、若さを保つ、若返るといった意味です。

  1. 噛む回数を増やし、唾液の分泌を良くする…消化の促進、肥満の予防
  2. 消化液(すい液、胆汁) の分泌量を増やし、働きを良くする…消化の促進
  3. 腸内の有害物質の排出を促す…便秘の予防、がんの予防、美肌
  4. 腸内細菌のバランスを良くする…整腸、免疫力アップ、感染防御
  5. 便を軟らかくし、量を増やす…整腸、便秘の予防・改善
  6. 血糖値の急上昇を防ぐ…「糖化」の抑制、肥満や糖尿病の予防・改善
  7. 血中コレステロールの上昇を防ぐ…脂質異常症の予防・改善、動脈硬化の予防

その他、塩分の吸収を抑制して血圧の急な上昇を防ぐ、腸の粘膜を保護して潰瘍を予防する、といった健康上の働きがあります。実際、食物繊維の摂取量が30gの人は、15gの人に比べて、心臓発作を起こす確率が3分の1という調査結果もあります。このように、食物繊維は「太らない体」をつくるとともに健康維持に欠かせない栄養素なのです。

食物繊維が便秘の予防や改善に役立つことはよく知られています。便通がいいことは腸内環境が整っているということで、腸がきれいだと若さを保つことにつながります。
食物繊維やビタミン、ミネラルなどを含んだお茶も便秘解消に役立ちます。

レインボーフードがポイント、太らない人の野菜の食べ方

肥満を防ぐための野菜の食べ方はとても重要です。。まず、1つの野菜を大量にとるのではなく、いろいろな野菜をまんペんなくとることが大切です。
野菜には、大きく分けて緑黄色野菜と淡色野菜の2種類があります。緑黄色野菜は、緑色や黄色といった色が濃い野菜です。老化防止に非常に有効なベータカロテンが豊富に含まれ、動脈硬化、心臓病、脳卒中、がんなどの予防にも役立ちます。
具体的には、パセリ、コマツナ、シュンギク、ニラ、ニンジン、ホウレンソウ、カボチャなどです。淡色野菜は、文字どおり色の薄い野菜です。免疫力を高め、動脈硬化やがんのリスクを低下させるビタミンCが豊富に含まれています。
また、ストレスに対する抵抗力も高め、潤いのある肌をつくる効果もあります。
具体的には、キャベツ、キュウリ、セロリ、ダイコン、ハクサイ、タマネギなどです。ビタミンC は加熱すると失われやすいため、なるべく生で食べたいものです。

ここで注意したいのは、野菜の色のバランス。海外では「レインボーフード」などと呼ばれていますが、「赤、橙、黄、緑、青、紺、紫」というように、緑黄色野菜と淡色野菜を複数、織り交ぜて食べることをおすすめします。

また、「旬」の野菜をとることも大切です。ハウス栽培が成立している今では、1年中どんな野菜でもスーパーに並んでいます。でも、「太らない体」をつくるには、やはり冬には冬の野菜を、夏には夏の野菜を食べるのが体の為です。

したがって、「緑黄色野菜と淡色野菜を複数、組み合わせて食べる」+ 「旬の野菜を食べる」これが「太らない体」をつくる「賢い野菜のとり方」と言えます。この二点を合わせると、季節ごとに食べるべき野菜が見えてきます。

春の旬の野菜

  • 菜の花
  • ニラ
  • アスパラガス
  • キャベツ
  • 小松菜
  • オクラ

夏の旬の野菜

  • きゅうり
  • たまねぎ
  • ピーマン
  • トマト
  • ナス

秋の旬の野菜

  • さつまいも
  • れんこん
  • ごぼう
  • 春菊

冬の旬の野菜

  • にんじん
  • 白菜
  • ブロッコリー
  • ながねぎ

「賢い野菜のとり方」をするか、しないかで、1年後のあなたの体は大きく違ってくるはずです。ここで1つ、注意しておきたいことがあります。

野菜ジュースを飲むことは、賢い野菜のとり方とは言えません。複数の野菜を手っ取り早くとるために、「1日分の野菜を1缶に凝縮したジュース」を飲めばいいこのように考えた方は、きっと多いことでしょう。すでに実践している人もいるかもしれません。でも、野菜は「食べる」。それでこそ、野菜に含まれる栄‡ 兼は力を発揮します。「野菜を食べる」のと「野菜ジュースを飲む」のとでは、何が違うのでしょうか。体に入るビタミン、ミネラルの量は同じですが、食物繊維の量が違います。野菜ジュースになると、食物繊維が四割ほども減ってしまうのです。さらに、消化・吸収の過程や速さが大きく異なります。野菜を、よく噛んで飲み込む、た過程をしっかり経てはじめて、それが胃で分解されて消化・吸収されるのです。
また、この過程を経るには、時間が必要です。ところが、ジュースだと摂取から消化・吸収までのスピードが速いので、栄養として十分、吸収されません。

体に入るビタミン、ミネラルの量は同じでも、「実際に体にとり込まれる量」が、ジュースだと断然と減ってしまうのです。ですから、「野菜ジュースを飲むこと」は、「野菜を食べることの代わり」にはなりません。そのような安易な考えは今すぐに捨てて、野菜をたっぷり食べましょう。

野菜中心の食生活なら太らないし、病気にもならない

野菜は、「太らない食べ方」の万能食材です。野菜はカロリーや脂質が少ないだけでなく、野菜に含まれる「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」こそ、「太らない体」をつくるのに欠かせない栄養素だからです。

ビタミンやミネラルは、「糖質」「脂質」「タンパク質」の3大栄養素がエネルギー源になったり、細胞や器官などの体の構成成分になったりするプロセスを、補助・調整しています。

3大栄養素が、それぞれ件の維持に必要な物 にスムーズに変化するのは、ビタミン、ミネラルの働きのおかげなのです。また、食物繊維は糖や脂質などの吸収を調整したり、腸の機能を高めて排泄をスムーズにしたりしています。

このように、消化、吸収から排泄までのサイクルがしっかり成り立っている体こそ「太らない体」と言えます。だから、そのすべてを可能にする野菜は、「太らない食べ方」の万能食材なのです。では、いったい1日にどれくらいの野菜を食べればいいのでしょうか。

1日350g以上、うち120g以上を緑黄色野菜にするこれが厚生労働省の推奨する野菜の摂取量の目安です。
具体的に350gとは、野菜妙め2皿分、生の野菜にすると、ラーメンどんぶりにこんもりするくらいです。キャベツの外柔なら7枚分(1枚約50g)、ナスなら4個分(1個約80g)です。このように書くと相当な量に思えるかもしれませんが、食べ方しだいでは十分摂取可能な量です。
「野菜を350g食べる」と言うと、何となく生野菜をバリバリ食べるようなイメージを持ちませんか。だから「どんぶり1杯分なんて無理!」と思ってしまうのかもしれませんが、みそ汁、煮もの、おひたし、酢の物、漬物などにすれば一気にカサが減ります。こういう料理を選べば、350gは意外と簡単にとれるものなのです。ですから、今日からは意識して、野菜がたくさん使われている料理を選ぶようにしましょう。

また、野菜には、がんや心臓病などの病気のリスクを低下させ、寿命を延ばす働きもあります。たとえば、デンマークのある研究では、「現在のデンマーク人の平均的な野菜摂取量は1日あたり270gだが、これを400gに増やすと寿命は0.8年延び、がん発症率は19%低下する。

さらに500gまで増やすと寿命は1.3年延び、がん発症率は32%低下する」と報告されています。また、アメリカのある研究では、「野菜・果物の摂取が1日3回以上の人と1回以下の人を比較すると、前者は心臓発作や心臓病による死亡が少ない」ことが明らかにされています。このように、いいことばかりの野菜は、たくさんとるに越したことはないのです。

冷え症解消のためにも朝~昼は腹持ちのいいメニュー、夜は消化のいいメニューがベスト!です。体を冷やさない工夫も肥満予防には大切です。