脂肪の大掃除

午前中は食べることよりも出すことを意識する

「頭のいい子は、朝ごはんをしっかり食べる」これは常識になっています。しかし、「できる40代は、朝ごはんをしっかり食べる」とは、いちがいには首えません。ろいろな健康意識調査でも、「朝食を食べる=調子がいい」「朝食を食べない=調子が悪い」が完全に定着してしまっているようです。

たしかに、肉体労働で体力を使う人や育ちざかりの子どもは、朝もしっかり食べる必要があります。早く起きて散歩をしたり、庭仕事をしたりなど体を動かした後に朝食をとる人も、しっかり食べていいでしょう。体がほぐれ、食べものを消化する態勢ができているからです。

もし、朝起きてすぐに支度を整えて出社し、仕事はデスクワークが中心こ、ついう生活スタイルであれば、朝食をしっかりとるのはむしろ体の負担になります。体には「日内変動」というリズムが備わっています。そのリズムにより、体は昼に向けて活発になつていくようになっています。この日内変動をもとに考えると、1日を3つの時間帯に分けることができます。

  • 午前4時から正午まで→「排泄」の時間
  • 正午から午後8時まで→「消化」の時間
  • 午後8時から午前4時まで→「吸収」の時間

したがって、「朝食は軽め、昼食をしっかり、夕食も軽め」というのが、適切な食事配分なのです。午前4時から正午までは、栄養をとることよりも、「排泄」に重きを置きます。
朝食は軽めにし、胃に負担をかけないようにします。お粥に漬物、それにお茶で十分です。正午から午後8時までは、体がもっとも活発に動く時間帯です。血糖値を上げ、エネルギー補給がされるように、昼食はしっかり食べましょう。
会社員で外食が多いなら、魚料理がメインで、漬物、みそ汁がついた和定食がいいでしょう。肉が食べたければ、鶏肉をおすすめします。

1週間単位で考えるならば、洋食、中華は週に2日ほどにしておくのがいいでしょう。そして午後8時から午前4時までは「吸収の時間」ですから、夕食は軽めにすませます。軽めと言っても、「何を食べるか」には気をつけてください。まず血糖値が上がりやすい食べ物ごはんなどの炭水化物と、砂糖がたくさん含まれた甘いものは、極力控えます。

夜間にこうした食べ物を食べても、余分なエネルギーが蓄えられて太るだけだからです。また、睡眠中は、細胞の傷を修復し、若返りを進めてくれる成長ホルモンが分泌される時間帯です。
ところが夜間に血糖値が上 昇すると、成長ホルモンの分泌が抑えられてしまうのです。

では、夜は何を食べたらいいかと言えば、タンパク質の豊富な食べ物です。タンパク質は、筋肉をつくる源になります。タンパク質を効果的に摂取するには、筋肉がつくられる時間帯に合わせて摂取するといいでしょう。

その時間帯は、運動後の3時間と夜寝ている問ですから、夕食はタンパク質の豊富な食事にしておきましょう。魚介類と豆腐・納豆など大豆食品の組み合わせは・タンパク質食材の最鞍コンビです。刺身と冷や奴、いか納豆といった献立がおすすめです。
夜は「量を少なく、タンパク質を多く、糖質を少なく」を心がけます。

よく噛んで食べるが太らない大切な習慣

食べるスピードが速い人は太る。あなたは、1度の食事にどれくらいの時間をかけているでしょう?20分以内だとしたら、達すぎます。最低30分はかけて食べるように心がけてください。なぜなら、速ければ速いほど「太りやすい体」になっていくからです。さらには消化器系にトラブルを起こす可能性もあります。

脳に満腹感が生じるのは、食べはじめてから20分ほど経過してからです。これが、「食事は最低20分」の根拠です。これより速く食べると、脳に満腹感が生じる前に食べ過ぎになってしまいますが、これよりゆっくり食べると、その間に満腹感がおとずれ食べ過ぎないというわけです。

また、本当にゆっくりと時間かけて食べるとどうなるか。食べはじめて1時間経過してからとった糖は吸収が良くなる、という説があります。
したがって、食事にかける時間は、20分から1時間というのが理想です。

さらに、「食べるスピードが速い人は太る」原因は、それだけではありません。問題は「噛む回数」です。噛むことは、食べ物の消化・吸収を助ける重要な機能です。

「太らない体」をつくるうえでもっとも重要なのは、噛む回数が「血糖値の上がり方」に関係している、ということです。噛む回数が少ないと、いきなりたくさんの食べ物が胃に入ることになり、そのせいで食べ物に含まれる糖が短時間で吸収されます。すると、血糖値が急上昇し、糖をエネルギーに変えて蓄えるインスリンが大量分泌され、結果、体脂肪がたまります。噛む回数が少ないと、こうして「太る仕組み」が体内にでき上がってしまうのです。

逆に噛む回数が多ければ多いほど、ゆっくり少しずつ食べ物が胃に入るため、糖は時間をかけて吸収されます。すると、血糖値はゆっくり上昇します。つまり、よく噛んで食べると、食べすぎも、血糖値の上昇を防ぐことができるのです。

よく噛むといっても、どれくらい噛めばいいのでしょうか。どんな食材でも、つまり硬いものでも軟らかいものでも、ひとロ20~30回、1回の食事で1500~2000回は噛む必要があります。

ごはんならば「粥状になり、甘味を感じるようになるまで」が目安です。これくらいよく噛むと、歯ぐきやアゴの筋肉に分布している神経が刺激されます。それが脳の阻噛中枢に伝達されます。すると、脳内で神経ヒスタミンと呼ばれる物質が放出されます。この物質は満腹中枢を刺激して食欲を抑え、脂肪の代謝を調節する成長ホルモンの働きを良くし、体脂肪の分解を促します。

よく噛むと唾液の分泌がさかんになることも大きなメリットです。唾液は消化を助けるだけでなく、発がん物質の働きを抑える酵素を含んでいる、とも言われています。よく噛んで食べるというだけで、「太らない体」になるだけでなく、がんを防ぐこと一lもできるのです。

食生活診断とガンを発症する兆候で自己診断してみるといいかもしれません。

かたいものは自然に噛む回数が多くなりますが、軟らかいものはどうしても回数が少なくなってしまいます。

神奈川歯科大学の調査によると、軟らかい食べものがあふれている現代、私たちが1回の食事で噛む回数は600回程度。1500~2000回という適切な回数の半分以下です。

日頃からかなり意放して「噛む」必要があるのです。よく噛むために、白米ごはんを玄米ごはんに替えるのも1つの手です。玄米は白米に比べて硬いので、噛む回数が自然と多くなります。さらに、玄米はGI値が低く、食物繊維や糖の代謝に欠かせないビタミンB1も豊富です。

食物繊維には血圧の上昇の抑制、免疫力の向上、便秘の解消、有害物質の排出といった働きを持ちます。ビタミンB1は、糖からエネルギーをつくる際の手助けをします。疲労回復や精神を安定させる働きがあります。

租借で肥満予防をし、食物繊維で体のそうじをして、ビタミンB1が心身をリフレッシュさせるというわけです。最近は、白米か玄米かを選べる弁当屋やレストランも増えています。迷わず玄米を選ぶようにしましょう。

ただ「よく噛む」と意識するだけで、「太らない体」をつくることができます。「忙しい」「ゆっくり食べる時間がない」と言う人もいるかもしれませんが、1回の食事に20〇分かけるというのは、やってみればそれほどむずかしくはないはずです。

腹八分目を実践しやすくするためにも、ちゃんと満腹中枢が刺激されるように「ひと口20~30回噛むこと」も心がけてください。

食事で最初に口にするのは野菜

ごはん、肉ジャガ、焼き魚、ホウレンソウのおひたし、豆腐とワカメのみそ汁、この献立で、あなたなら何から箸をつけるでしょうか?

太らない食べ方では「食べる順番」も重要です。まずこの習慣を正すことが大切です。

正解は、おひたし。次に、焼き魚かみそ汁。まずはこの順番にしたがってひと口ふた口、うに食べてかまいません。この順番には、もちろん意味があります。ごはんと肉ジャガは最後です。これは「GI値が低い順」す。GI値はこちら

つまり「血糖値をゆるやかに上げる料理が先」ということで空腹のとき、ごはん、ジャガイモなどのGI値の高い食材を先に食べると、血糖値が急上昇します。血糖値が急激に上がる食べ方は、脂肪をため込む「太る食べ方」です。だから、血糖値がゆるやかに上がるよう、食べる順番に気をつけなければなりません。これが「太らない食べ方」です。

簡単に言えば、先に野菜、次にたんばく賞を食べ、ごはん、ジャガイモなどの炭水化物や砂糖をたくさん使った料理は後にすること。これが基本です。

ですから、「焼き魚」でなく「豚の冷しゃぶ」の場合も、ごはんより先に食べます。野菜といっても、煮しめやキンピラゴボウなど砂糖を多く使った料理は後回しにします。

「サラダ」の場合は、ドレッシングの量を控えめにします。化学物質などの添加物が入っている場合があるからです。野菜を先に食べるのがいいもう1つの理由は、野菜に多く含まれる食物繊椎が、糖の吸収を穏やかにするということ。つまり、野菜を先に食べておけば、後から糖質の多い食材を食べても、血糖値が急に上がらずにすむのです。酢の物であればより効果的です。酢も糖の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑えてくれます。

ですから、献立に炭水化物や砂糖を使った料理など、GI値の高そうな食材が含まれるときは、とくに気をつけて、先に食物繊維の多い野菜を食べましょう。食物繊維は、きのこ類や海藻類にも豊富に含まれています。これらを使った料理があれば、まず先に箸をつけるようにするのがポイントです。

あとはやはり「太らない習慣」を実践することです。