加齢が影響している

お腹に「ハンバーグ20個分の脂肪

20代のあなたと40代のあなた一番の違いはどこにあるのでしょうか。1日に「食べる量」と「消費する量」を見て、20代と40代とでエネルギー摂取とエネルギー消費のバランスを比較してみましょう。
「消費量」は、体を維持するためのエネルギー消費量(基礎代謝量) と、体を動かすためのエネルギー消費量(活動量) を合わせたものですが、平均的な「活動量」は、「消費する量」の全体の約30%とされています。ということは、「基礎代謝量」は、「消費量」全体の70%。
つまり「基礎代謝量」を基本にして考えれば、「消費量」全体は「基礎代謝量」0.7で割ると求められる、ということです。

この考え方をもとに、まず20代の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを見てみましょう。20代の平均的な基礎代謝量は1550kcalです。これを0.7で割ると「消費量」は約2200となり、そのうち30%の650kcalが「活動量」となります。
摂取エネルギーが、すべて消費されている計算です。一方、40代はどうでしょうか。40代の平均的な基礎代謝量は1500kcal。仮に20代と同じように食べ(摂取エネルギ1220kcal)、体を動かしていたとしても(活動量が650kcal)、基礎代謝量が減っている分、1日に50kcalが余る計算になります。
実際には、40代になれば20代のころより食べる量は減るでしょう。しかし同時に、活動量もガクンと減ります。

仮に食べる量が150kcal(ごはん茶わん1杯分ほど) 減っても、活動量が半分に減れば、毎日、225kcal(ごはん茶わん1.5杯分ほど) も余る計算になります。3ヶ月で2kg。これが体脂肪となって体内にたまってしまいます。3ヶ月で2kgとは、どういうことでしょうか。

極端に言えば、100gのハンバー20個分の脂肪が、あなたのお腹に加わるようなものです。これは放ってはおけません。歳をとると自然に減る活動量を、がんばって20代のころと同じに保ったとしても、「基礎代謝量の低下」という落とし穴があります。「中年太り」は食事量を減らして、運動量を増やすといったダイエットをしても解消できないのです。それよりいい方法があります。

繰り返しになりますが、「太りやすい体」になるのは、老化で基礎代謝量が落ちることが原因です。ならば、その「大もと」の「老化」を抑えればいいのです。その方法は心身の負担にはなりません。日常の生活をちょっと改善するだけでいいのです。それが「太らない体」づくりへの近道になります。

隠れ肥満、いつの間にか太ってしまう

40代になると「隠れ肥満」になる人がいます。一見すると、太ったようには見えなくても、じつは「肥満」という人です。40代になっても、「お腹回りは八85cm以内、体重も30代のころとあまり変わらない」といった人が、じつは結構危ないのです。
安心していてはいけません。それは、40歳あたりから、体重は標準の範囲でも体脂肪率が高い、という人が増えるからです。これが、「隠れ肥満」です。

標準体重という落とし穴

が隠れ肥満を増やす一因になっているようです。

見た目はカツコ悪くなくても、立派な肥満。知らないうちに、病気を引き起こす環境が体内につくられているということですから、気をつけなければなりません。

見た目ではわからないだけに、とても「危険な肥満」と言えるでしょう。こうなると、どんなに昔と体型が変わっていなくても「メタボ(メタポリックシンドローム)」予備軍です。この「メタポリックシンドローム」について、「じつはよく知らない」という人が多いのではないでしょうか。

わが国の基準では、腹回りが男性で85cm以上、女性で90cm以上あると、内臓の周りに体脂肪がたまりすぎた「内臓脂肪型肥満」と見なされます。
同じ肥満でも、若い人の肥満のほとんどは、皮下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」です。皮下脂肪は、つきすぎると体に負担をかけるなど、健康に悪い影響を与えますが、生活習慣病の引き金にはなりません。
むしろ、いざというときに使えるようにエネルギーを貯蔵したり、体を保温したりするという大切な役目を持っています。女性の場合、妊娠・出産には必要不可欠です。

一方、内蔵の周囲にたまった体脂肪は、生活習慣病の原因になります。

そして、この「内臓脂肪型肥満」に、高血圧・脂質異常(血液中のコレステロールや中性脂肪おもに食事からとられた脂肪が異常に多い状態)・高血糖のうち、2つ以上の症状が重なった状態。これが、「メタポリックシンドローム」俗に言う「メタボ」です。とくに、糖尿病や高血圧、動脈硬化、心臓病といった生活習慣痛が引き起こされやすくなっている状態を指します。

では、なぜ40代になると「隠れ肥満」も含め、「メタボ」になる危険性が高まるのでしょうか。それは「基礎代謝量」に関係しています。かりに、あなたが40代、50代で、20代のころと同じように食べ、飲み、活動していると、どうなるか。20代のころと何も変わらない?いいえ。「基礎代謝量」が落ちているため、たとえ同じように活動していても消費エネルギーは格段に低くなっているのです。ズバリ言えば、基礎代謝量の差が、「中年太り」を生み出します。

中年以太りと筋肉との関係

「中年太り」がカツコ悪いのは、「脂肪が多い」からだけではありません。「筋肉の量が減っている」ことも、カツコ悪さの
原因です。
歳をとると筋肉の量が減り、筋力も衰えてきます。それで、少し走っただけで足が上がらなくなったり、ひどい筋肉痛に悩まされたりするのです。

筋肉の量は、マメに運動をしている人でも、加齢にともなって減少していきます。この筋肉の量の減少が、「中年太り」の根本原因なのです。
筋肉がどの程度減少するかは、部位によって異なります。

たとえば、腕の筋肉は歳をとってもあまり減りません。ところが、体の中でもっとも大きい太ももの筋肉は、一般に40代では20代の約90%、60代では20代の約70%にまで減少すると言われています。

では筋肉が減るとどうなるか?。その分、細くなるのではありません。減った鳥肉はその分、脂肪に置き換わります。これが、「体脂肪」と呼ばれる脂肪です。肥満は、エネルギーの「摂取」と「消費」のバランスが悪くなることで起こります。

摂取エネルギーは、食べたり飲んだりする量が多いほど、また、カロリーの高い食材が多いほど増えます。そして摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、消費されずに残ったエネルギーが体脂肪となり、それが蓄積されて肥満になるのです。消費エネルギーは、「体を維持するエネルギー」と「体を動かすエネルギー」の2つに大きく分けられます。ここでポイントになるのは「体を維持するエネルギー」。
体はじっとしているときでも、呼吸をしたり、体温を保ったり、心臓を動かしたりと、「体を維持するエネルギー」が必要です。これを「基礎代謝」と言い、その量を「基礎代謝量」と呼びます。「体を維持するエネルギー」は、おもに筋肉でつくられます。つまり、筋肉の量の多い人は基礎代謝量が多く、筋肉の量の少ない人は基礎代謝量も少ないということになります。ですから、筋肉の量が減ると基礎代謝量が低下し、摂取エネルギーの量が消費エネルギーの量を上回って「太りやすい体」になります。

そして、お腹が徐々に出てくるわけです。これが、「歳をとると太りやすくなる」仕組みです。基礎代謝量は、10代後半にピークに達して以降、低下していきます。40代を境にして、その低下の度合いが大きくなります。これを放っておけば、50代から60代になるとガクンと落ちます。
ここに、40歳になったら、「太らない体」をつくらなければならない理由があるのです。基礎代謝量は性別、年齢、体重によって異なります。各年代の平均的な基礎代謝量は、「基準体重×基準基礎代謝値」で求められます。「基準体重」はそれぞれの年代の平均的な体重で、「基準基礎代謝値」とは、体重一キログラムあたりの消費エネルギー量です。男性の年代別の一日の平均的な基礎代謝量は、およそ以下のようになります。

数字から見る「中年以降が太りやすい理由」

基礎代謝量kcal 1550 1500 1350 1220
年代 20代 30~40代 50~60代 70代
平均体重 64.5 67.0 63.0 57.0
平均基準基礎代謝値(kcal) 24.0 24.0 22.3 21.5

平均基準基礎代謝値を見ると、20代→30~40代→50~60代のところが太る太らないの境目になっていることがわかります。

これはあくまでも目安ですが40代を無為に過ごすと、10年後、20年後に大きな落差となって自分にはね返ってくることが、おわかりいただけると思います。