太らないための体の動かし方

理想は60秒で120mのはやさ

ここで、あなたの全身持久力を試してみましょう。あなたにとっての「簡単な運動」の適度を判断する基準になります。全身持久力は、次の手順でチェックできます。

まず2分間、あなた自身の感覚で「ややきつい」と感じる速さで歩いて、その距離を測ります。そして、計った距離(メートル) から、以下の表で評価します。
この表は、全身持久力の目標値を表わしています。測定した距離が、表の「3分間で歩いた距離以上」の場合は、目標となる全身持久力にほほ達しています。表の「距離未満」の場合は、目標に達していません。場所や測定法の問題があって、個人で正確に行なうのはむずかしいかもれませんが、今の自分にどれくらいの全身持久力があるのか、およその見当はつくでしょう。
表の「歩行速度」は、「ややきつい」と感じるレベルでの速さです。

40代であれば、1分間に120mの速さが「ややきつい」のレベルです。この速さで歩いたとき「きつい」「かなりきつい」と感じるようだと、目標に達していません。全身持久力が目標に達していない場合は、高めるための「軽い運動」を行ないましょう。

有酸素運動なら何でもかまいませんが、どれも「ややきつい」くらいで続けると、日に見えて効果が出はじめるはずです。その際の「ややきつい」は、個々で異なりますが、目安として「心拍数」で判断してください。左腕の親指のつけ根から3cmほど上の手首に触れると、血管が脈打っているのがわかる場所があります。
ここに右手の人差し指・中指・薬指を3本そろえて軽く当てて計ります。手首の脱が見つかりにくい人は、左胸に手を当て、心臓の打つ回数を数えてください。首すじに手を当てて、脈拍を計ってもいいでしょう。
1分間きっちり計らず、15秒間計った回数を4倍してもかまいません。腕時計型の心拍数の計測器も多種、市販されています。「ややきつい」は最大心拍数の5~7.5割と言われています。最大心拍数とは、体が動かせなくなるほどの運動をしたときの心拍数です。およその目安として、「220マイナス年齢」で求められます。

したがって、仮に40歳で計算してみますと、90~35
が、ちょうどよい心拍数、ということになります。最初は控えめに設定して、徐々に上げて行ってもいいでしょう。闇雲に体を動かすのではなく、最初は少し面倒でも自分に適したレベルの運動を続けることが、「太らない体」への近道です。

1分間で120mが太らない人の歩く速度

男性 20代 30代 40代 50代 60代
3分間で歩いた距離 375 360 360 345 345
速度(m/分) 125 120 120 115 115
女性 20代 30代 40代 50代 60代
3分間で歩いた距離 345 340 330 315 300
速度(m/分) 115 115 110 > 105 100

40代から自分の体を知る

「太らない体」をつくる最初の習慣は、「軽い運動」です。運動と言っても、ただ体を動かせばいいというものではありません。「太らない体」をつくるための運動は、3つあります。

  1. 有酸素運動
  2. 筋力トレーニング
  3. ストレッチ

の3つです。

どれも、「軽い運動」です。すでに、「中年太り」になっている人でも、毎朝走ったり週に何回もスポーツジムに通ったりして強めの運動をする必要はありません。

「太らない体」をつくるには、「軽い運動」で十分なのです。「軽い運動」とはいつでもどこでも気軽にやれるもので、40代から「太らない体」をつくるコツです。
このコツは、若返りホルモンの「DHEA」の分泌を促して、「いつまでも若いい体」でいられるようにするものでもあります。
ホルモンの分泌を正常化して、肥満や病気につながる老化を抑えるのです。

まず、1の有酸素運動とは、酸素を体に取り込み、それによって体内の糖質や脂肪をエネルギーとして消費する運動です。体内エネルギーは、食事でとった糖質や脂質(脂肪) に酸素を反応させてつくり出されます。

また、つくり出すときだけでなく、体内エネルギーを実際に消費するときにも、酸素を必要とします。なぜ有酸素運動が「太らない体」をつくるのに役立つのでしょうか。ひと言で言えば、有酸素運動によって、全身持久力が高まるからです。全身持久力とは、言い換えれば「スタミナ」のこと。少し動くと息切れがし、動けなくなる人を「スタミナがない」、長く動いても息切れせずに動ける人を「スタミナがある」と言います。このスタミナが、全身持久力なのです。
したがって、短距離走でのスピードがどこまで続くか( スピード持久力)、腕立て伏せのように一部の筋肉を使ってどのくらいできるか(筋持久力)、といった「持久力」とは区別されます。

全身持久力が高くなるということは、少ない酸素で多くの活動が行なえるということです。全身持久力の低い人は、高い人に比べて心臓・血管の病気にかかるリスクが高く、死亡率が四〜五倍も高いとされています。したがって、有酸素運動で全身持久力を高めておけば、肥満を抑えるのはもちろん、心臓や血管の病気を予防することもできるのです。

有酸素運動は、運動中に「ハア、ハア」というリズミカルな呼吸になるのが特徴で、長く続けられる運動は、歩く、走る、自転車に乗る、泳ぐ、といった運動です。年代に関わらず、この「ハア、ハア」という呼吸になる程度にしておくことが目安となります。「ハア、ハア」が「ゼイゼイ」「ヒィヒィ」と呼吸が苦しくなると、やりすぎだということです。

反対に、無酸素運動瞬間的にパワーを発揮する短距離走や、息を止めて行なうウェイトトレーニング、腹筋や腕立て伏せなどの筋トレは、心肺機能を高めません。無酸素運動は、有酸素運動のように取り入れた酸素を利用してエネルギーをつくつたり、使ったりするのではなく、すでに体内にためられているエネルギーを使う運動です。腹筋も腕立て伏せも、2~3回やるくらいは運動のうちに入りませんが、10回もやれば無酸素運動になります。また、有酸素運動でも、肩で呼吸をするはど激しくやってしまうと、無酸素運動に近くなって効果も低くなります。