2020年 3月 の投稿一覧

女性は脂肪をため込もうとする体の自然な働きがある

人工透析の厳しい現実や、失明寸前になった方のエピソードは、驚いたかもしれません。

でも、糖尿病はそれほど恐ろしい病気です。その点だけは、忘れてはいけません。

これだけ糖尿病患者が増えている以上対岸の火事では済まされないところまできています。もう1つだけ、データを提示しましょう。前の項で、日本の透析患者さんは毎年1 万人ずつ増えると書きましたが、実際に増えているのは3万人。つまり、毎年2 万人が亡くなっているのです。糖尿病によって腎臓病を患い、人工透析を始めた方の平均余命は、わずか5年程度しかありません。

糖尿病は、こうして人々の命をおびやかします。しかし、その大元は肥満ですから、そぅならないような生活をしていけば糖尿痛にもなりません。そこで注目すべきは、食事です。しっかり噛むダイエットは、

  1. 食事の際、30回噛んでから飲み込む
  2. 毎日、体重計に乗る

という2つのことをするだけで、無理なくダイエットできる方法です。30回噛むのは大変そうですが、すぐに習慣化するので安心してください。

ダイエットの効果についても、折り紙つきです。そう書くと、「お前、自分がやっていることを自慢するな」と叱られそうですが、折り紙をつけてくれたのは私ではなく患者さんたちです。

ところで、人はなぜ太るのでしょうか。食べるものの量や、コレステロールなどの脂肪分ではないことは、アメリカでの研究結果からも明らかです。その研究で、人々はコレステロールを控える代わりに炭水化物を食べ、肥満と糖尿病を増やしました。

答えは簡単、肥満の原因は炭水化物。つまり主食にあったのです。日本人はご飯、欧米人はパンが主食。材料でいえば、米と小麦です。これらが主食になったのは、人類の歴史でいえばつい最近の出来事でした。

糖質制限ダイエットは主食を抜いて、お肉、お魚は制限なく食べるダイエットです。

諸説あるようですが、人類が地球上に生まれて400万年。サルからヒトヘ、歴史で習つたアウストラロピテクスやネアンデルタール人を経て進化を遂げてきました。その長い間、人類が何を食べてきたかといえば、肉。狩りをして、獲物を得ていたのです。

狩猟生活では、いつ食事ができるかがわかりません。現代のように、朝昼晩と3 回食べるなんて、夢のまた夢。ということは、食事で得たエネルギーをなるべく消費せず、次の獲物を得るまでもちこたえる必要があります。そうして人類は、体にエネルギーを貯蔵する仕組みを備えるようになりました。

進化は、生活の状態に沿って進みます。たとえば深海魚は目が退化しますし、アリクイは指が長くなりました。

人類も、しばらく獲物が取れなくても生きられるよう、長い時間をかけて体内をつくり変えていったのです。人類でそれが特に顕著なのが、女性です。出産や授乳という大きな仕事を与えられた女性は、赤ちゃんが泣けばおっぱいを与えなくてはなりません。それが夜中でも、自分がどんなに空腹のときでも、赤ちゃんはお構いなしに泣きます。

しかし、狩猟生活ではいつ食事にありつけるかがわかりません。ですから女性には、目の前に食べ物があると、あるだけ全部食べるクセがつきました。買ってきたお弁当を残さないのもそのためですし、家族の食べ残しを全部平らげるのもお母さんの役割です。

なぜかといえば、体に脂肪をためなければならなかったから。そうして、脂肪を蓄えることのできる女性は、食べ物があると残さず平らげて人類を守ってきました。現代に生き残っている女性にも、太ろうとする本能がそのまま備わっていますから、放っておくと必ず太ります。太らないと死んでしまうからです。

生きるために蓄えた脂肪を、運動して燃やしてしまったらどうなるでしょう? 夜中におっぱいが出なくなります。だから女性は、その日のうちに脂肪を取り戻そうとして、たくさん食べるのです。運動するとおなかがすくのは、本能なのです。

重大な睡眠時無呼吸症候群と糖尿病との関連性

生活習慣病の分野で、よくいわれるものに睡眠時無呼吸症候群とメタポリックシンドロームとの関係があります。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まってしまう症状のこと。
普通の寝息は「スースー」とリズミカルなのですが、こちらは「スー (しばらく無音)スー」と途切れてしまうのです。

ひどい場合には、呼吸が止まった状態が10秒も20秒も続きます。そういった無呼吸状態が、ひと晩に30回以上もしくは1時間に5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群の治療その5「家でできる無呼吸やいびきの対症療法」 | いびきを甘くみてはいけない

ただ呼吸が止まるだけではありません。この病気の人は、日中にひどい眠気に襲われるようになります。以前、新幹線の運転士が居眠り運転をしてしまい、検査してこの病気であるとわかったときには、大きな社会問題になりました。
それだけでなく、本人の健康にも多大な悪影響を及ぼします。無呼吸によって血中の酸素濃度が下がることで、高血圧などのリスクが高まるのです。

また、睡眠時無呼吸症候群の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいという相互関係があることもわかってきました。その原因の1つは、肥満によって喉の気道が狭くなることにあるとされています。

特徴は、大きないびきをかくことです。睡眠中に起きる症状なので、自覚はほとんどありません。睡眠時無呼吸症候群であるとわかるのは、パートナーの指摘によってである場合がほとんどです。最近は検査を実施している医療機関も増えてきましたので、気になる方は検討してみてください。

呼吸が途切れてしまうような睡眠では、体を休めることができません。どうやら、正しい睡眠のためにもダイエットが重要のようです。

糖尿病は、じわりじわりと少しずつ進行します。そして、あるときに判明して慌てることになります。ここで、典型的な実例のひとつです。ある方は、51歳男性。子どもの頃から食べることが大好きで、現在の身長(169cm) になった高校生のときに80 kgを超え、それ以来ずっと90 kg前後を維持していました。

10年ほど前から、健康診断でイエローカードをもらっていましたが、特に体調が悪いわけでもないので放置していました。再検査を受けず、毎年イエローカードをもらうだけです。3~4年前から、不思議なことに体重が落ち始めました。食生活には大きな変化がないのに、90 kgだった体重が80 kgを切ったのです。ずっとデブだといわれていたので、この自然な減量は大歓迎でした。

その頃、もう1つの変化が起きていました。勃起不全です。同時に、ときどき目がかすんで新聞や雑誌が読みにくいとも感じていました。毛髪が薄くなり始めたこともあり、自分に訪れたこれらの変化を、加齢によるものと自己判断しました。

目のかすみは、老眼のせいだろうと考えていたのです。最後の転機が訪れます。ある朝、出勤のために草を運転しようとすると、いつもよりかすんだ目のせいで信号がよく見えません。さすがに、それでは危険だからと、近くの眼科を受診しました。すると、眼科医は目を一瞬見ただけで診察をやめ、こう宣告します。「あなたは、私では手に負えません。紹介状を書きますので、内科を受診してください。

紹介された内科を受診し、眼科医の見立てどおり糖尿病と診断されました。自宅に帰り、インターネットで糖尿病を調べてみると、気をつけるべき兆候という記事がありました。それらは、どれもが自分に当てはまっていました。急な体重減をはじめ、ここ何年かはやたらと喉が渇くためにお茶や水をガブ飲みしていたこと。勃起不全、目のかすみ、手足のしびれ… 。

ギター演奏が趣味でしたが、自分の手のしびれが腱鞘炎のせいだと思っていたことも、マイナス要因でした。幸い、腎臓のほうにはさほどのダメージがなく、悪かった血液の数倍も順調に改善していきました。

内科医には、「優秀です。この調子で続けましょう」とほめられました。ところが、大きな病院でレーザー治療を受けた目のほうには視力改善の兆しがなく、「現状では、よくて現状維持」と担当医に言われています。

糖尿病は、血管や神経を傷つけます。血管は目に、神経は勃起不全と手のしびれとして表れました。こうした兆候を自覚しているか、健康診断で異常が出たりした方は、絶対に放置してはいけません。「気づいたときにはもう遅い」とならないためにも、ダイエットが欠かせません。

いびきを甘くみてはいけない

日本では糖尿病の合併症による透析患者が増えている

こちらのとおり、人工透析は腎症患者さんに対する治療です。特に、腎機能が正常時の30% を下回った状態を腎不全といい、そうなってしまったら大変です。腎臓が機能を失ったら、二度と取り戻すことはできないからです。そうなると、人工透析を導入するか腎臓移植を受けるしかありません。

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しかし、移植に関しては世界的にドナー(臓器提供者) が不足しており、日本では特に長期の待機を強いられています。つまり、ほぼすべての腎不全患者さんが自動的に人工透析を導入することになります。

多くの場合は、血液透析という方法の人工透析です。これは、血液をいったん体外に取り出し、ダイアライザーという機器で浄化して再び体内に戻すというもの。何度も針を刺すことになるので、前腕にシャントという太い血管を造設します。

シャントとは、手術で一部を動脈につないで血流を増やした静脈のことです。ここで思い出していただきたいのは、糖尿病が血管と神経を傷める病気であること。腎症には2種類あり、もともと腎臓に何らかの障害があるものと、糖尿病によって腎臓が悪化したものです。

近年の日本で増加の一途にあるのは、後者のほうです。糖尿病によって血管が弱っていると、せっかく造設したシャントもたびたびトラブルを起こすことになります。針を刺しやすくするために太くしたのに、血流が悪くなったり詰まったりするのです。そうなると、再手術を受けるしか手立てがありません。

現在、日本の透析患者さんは増え続けています。数年前には、27万人とも28万人ともいわれていましたが、最近ついに30 万人を突破しています。これはもちろん、糖尿痛患者さんがそれだけ増えていることの証明にほかなりません。一刻も早く、糖尿病への抜本的な対策が必要なのです。

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