ゴハン、うどん、パスタ、パンなどの炭水化物を食べると体内でブドウ糖に分解され、膵臓がインスリンを分泌してその吸収を助ける働きがあります。
炭水化物を大量に食べれば、そのぶん大量のインスリンが必要です。ここで考えなければならないのは、そういう食生活を20 〜30年という長期間にわたって続けていると、インスリンの効果が薄れてしまうことです。
この状態を、「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性になると、さらにインスリンの分泌が必要になります。すると、体は脂肪を蓄積しよう蓄積しょうとする方向に傾きます。
脂肪を蓄積しやすく、分解しにくい状態にしてしまうわけです。ここまでくると、もっと厄介なことが起きます。内臓脂肪の蓄積によって、アディポサイトカインというホルモンの分泌異常が起こり、インスリン抵抗性をさらに増強してしまうのです。アディポサイトカインは脂肪細胞が分泌するホルモンの総称で、人体機能を調節する働きをもつ物質です。
これまでに約30種類が発見されており、中には肥満やメタポリックシンドロームに大きく関わる物質もあります。代表例を少しあげてみましょう。
- TNF-α
- 体内の炎症を促進させると同時に、インスリンの働きを低下させる。
- アンギオテンシノーゲン
- 血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
- PAI-1
- 血液を凝固させ、血栓をつくりやすくする。
肥満→糖尿病・メタポリックシンドローム→動脈硬化→脳卒中・心筋梗塞などの致死性疾患というメタポリックドミノを、思い切り促進させる物質ばかり。
どう考えても、体にいい作用をしているとはいえません。ァディポサイトカインは近年に発見されたばかりで、まだまだ研究途上にあるといえる物質ではあります(善玉のアディポサイトカインもいます)。
とはいえ、インスリン抵抗性がこれほどのリスクを内包しているのは確かです。炭水化物の大量摂取は、膵臓を疲れさせてしまうばかりでなく、こんな悪影響も引き起こしてしまいます。
まさに、体調悪化の悪循環です。加えて、インスリン抵抗性は異常なほどの空腹感も生み出します。体内では、糖代謝異常、高血圧、脂肪肝などが進行しています。
ところが本人は、食欲もいたって旺盛なのだからと、病気を自覚することなく大食いに突っ走ります。長期間続ければ、やがて全身の動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞への坂道を転げ落ちていくだけです。インスリン抵抗性にならないためには、何をすべきか。もう、おわかりですよね? 炭水化物の摂取量を減らせばいいのです。
糖尿病やダイエット中でも糖質制限食なら好きなものをお腹いっぱい食べてもOK