人がダイエットをしたり、健康診断を受けたりするのは長生きしたいから。誰も、がずっと健康でありたいですし、おいしいものをたくさん食べていたいと思っています。
では、どういう食生活をすれば健康で長生きできるのでしょうか。答えは1つ。タンパク質と脂質を食べればいいのです。
肉・卵・チーズを「三種の神器」と呼んで、積極的に食べることを推奨しています。それらを食べるだけで、体重もガクンと落ちていきます。1日に食べる量の目安は、肉200 g、卵3 個、チーズ120 g。多いように感じるかもしれませんが、これだけ食べても糖質はほぼゼロなので太ることはありません。
肉は、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも構いません。もちろんラム肉でもOK です。
厳密にいえば、それぞれの栄養分はずいぶん違いますし、同じ肉でも部位によってかなりの開きがあります。でも、細かいことにこだわりたくありませんし、目的はタンパク質の摂取にあるので、単に「肉」としています。豚肉の脂身や、鶏肉の皮を取り除く必要はありません。そんなことをしたら、大切な脂質を捨てることになってしまいます。
卵は、ゆでても焼いても妙めても構いません。高価なブランド卵である必要もありません。1度に3 個まとめて食べてもいいし、3食に1個ずつ分けて食べても構いません。もっと食べたければ、4 個でも5個でも召し上がってください。
卵をいくら食べても、体にコレステロールはつきません。ただし、一度ゆでた卵は冷蔵庫に入れておいてもあまり日もちしないので、つくり置きは避けるのが無難です。
チーズは、プロセスチーズでもゴーダチーズでも何でも結構です。6 個人りの円形パックのものが、ちょうど120 g です。味や形の違うタイプのチーズを買っておいて、食後のデザート代わりにしたり、おやつとして少しずつ食べたりすれば大丈夫です。
ここでまた、肉・卵・チーズの栄養成分を見てみましょう。比較対象として、おにぎりを加えます。すべての重量を150g (卵3個分) にそろえ、牛肉と豚肉は同じ肩ロースとしました。いかがでしょうか。
肉・卵・チーズはほぼすべての項目が埋まるのに対し、おにぎりはゼロの項目がずいぶん目立ちます。炭水化物の含有量にも、天と地ほどの開きがあります。どちらが優れた食品であるかは、一目瞭然ではないでしょうか。
肉・卵・チーズは、低カロリー・低コレステロールダイエットが目の敵にしている食品です。でも、その理論が間違っていることは繰り返し説明しましたし、医学でもすでに証明済みです。長い間信じられてきた経緯はありますが、古い考えはもうバッサリと捨ててしまいましょう。
私たちの体は、主にタンパク質でできています。それなら、タンパク質をたくさん取るのが自然な流れのはず。卵は、いずれヒヨコが生まれる完全栄養食品です。
さすがに、ウシやブタは体の一部である肉しか食べられませんが、卵はニワトリの全身を食べているのと同じ。これ以上のものがないほど、優れたバランス栄養食です。
ところが、低カロリー・低コレステロールダイエットでの卵の扱いは、まったくひどいもの。「コレステロールが多すぎ」とか、「脂質の塊」といった評価なのですが、それをたくさん含んでいるからこそ積極的に食べるべきなのです。
チーズは、乳製品の代表です。乳製品といえば牛乳ですが、ちょっとだけ炭水化物が含まれている難点があるので、チーズのほうを推奨しています。でも、私たちほ乳類はみな母乳で育ちますし、欲しがって元気に泣く赤ちゃんに制限を加えるのもナンセンス。
私はそれを大人にあてはめ、チーズも食べたいだけ食べていいとしています。乳製品も、卵と同じく優れた食品です。これらの食品を食べる順番も、低カロリー・低コレステロールダイエットとはまったく逆です。あちらは、最初に野菜から食べろというのが定石ですが、『よく噛むダイエット』では肉・卵・チーズが先です。
焼き肉屋に行くと、まずはタンやハラミを食べてからカルビにいき、最後にご飯ものか冷麺で締めるというスタイルが一般的ですよね?
それと同じに、自宅の食卓でも肉から食べればいいだけです。もちろん、必ず30回噛むことは忘れないでください。ゆっくり噛んでいるうちに満腹になり、「締め」のご飯もいらなくなってきます。
ここで得た満腹感は、炭水化物をたくさん食べて胃がふくらんだだけの物理的満腹感ではなく、脳が納得して得られた満腹感。肉・卵・チーズを食べれば、人体が必要とする栄養素をすべてそろえて摂取できるので、脳が満足してくれるのです。食後血糖値も上がっていないため、次の食事までおなかがすくことはありません。
やがて、1日の食事のリズムを脳が記憶します。習慣化してしまえば、何の苦労もなく一生続けることが可能です。面倒なカロリー計算や、つらい我慢とも無縁。過剰な炭水化物摂取も間食もなくなるので、体重はどんどん減っていきます。そして、ダイエットがもつ最大の落とし穴で、これまでの方法では解決できなかったリバウンドも起こりません。
つまり、『よく噛むダイエット』は一生太らない体を手に入れられる方法なのです。