現在、最もポピュラーで定番となっているダイエット法は、「食事療法(低カロリー・低コレステロールダイエット)に 軽い運動」をプラスしたものでしょう。
健康診断で引っかかったような人には、必ず推奨されています。方法で指導していた医師も多いはずです。ところが、失敗する人が多数いたのです。体に入るものを少なくし、出るものを増やすのですから、差し引きすれば減量できて当然でしょう。
必要以上のエネルギーを取り入れないのですから、一見すると理にかなっているようにも思えます。お金に置き換えて考えれば、収入が減って支出が増えたのと同じ。
ですから、差し引き赤字という計算になります。赤字というと聞こえがよくありませんが、この場合の黒字は体重増になるのでNGです。
ところが、人体はお金の収支と同じではありません。満腹することに慣れた体が、その欲求を我慢できないのです。
食事の総量を抑えながら動物性タンパク質や脂肪分を減らし、野菜をたくさん食べるのが、「低カロリー・低コレステロールダイエット」です。病院で推奨されるようになって長い期間が過ぎていますから、健康診断で血糖値や中性脂肪値などの結果が悪かった方の多くが、この方法を経験されたはず。
全国の病院で、医師も看護師も管理栄養士もこぞってこの方法を推進しました。そうした努力の甲斐あって、ここ10年で日本人の食事が大きく変わってきたのも事実です。
摂取するカロリー総量は減り、動物性脂肪摂取量もぐんぐん減りました。ところが、食事の改善とともに減るはずの肥満は一向になくならず、悪いことに生活習慣病はうなぎ上りに増える一方なのです。
特定健診が導入されたのは、つい12年前の2008年のこと。日本人に糖尿病などの生活習慣病が増えていることへの対策として、厚生労働省が導入に踏み切ったものです。長年にわたり、低カロリト・低コレステロールダイエットを進めてきたにもかかわらず、日本人の生活習慣病は増えに増えました。
そのために健康診断を強化し、予防に努めるという考え自体には私も共感できます。ところが、そこでイエローカードをもらった方に対する指導も、低カロリー・低コレステロールダイエットというのが信じられません。こんな話、おかしいと思いませんか?
糖尿病にまでは進んでいなくても、血糖値の高い人は「糖尿病予備軍」とされます。そこまで含めれば、日本の糖尿病患者数はもはや2200万人以上とされ、早急な対策が必要なことはわかっています。あらためていうまでもなく、糖尿病は放置すると危険な合併症が待っている、恐ろしい病気なのですから。そんな大変な状況なのに、いつまでたっても低カロリー・低コレステロールダイエットを唱えているのはあまりにも異常です。
ジョギングやウォーキングがブームになり、多くの街にフィットネスジムもたくさんできたのに、日本人は健康を手に入れられなかったばかりか、ものすごい勢いで生活習慣病を増やしているのです。断言しますが、低カロリー・低コレステロールダイエットは明らかに間違いです。そのことは、以上のような事実からも簡単に証明できています。カロリー神話は、すでに意味をなしていないのです。