2020年 5月 の投稿一覧

痩せたいなら肉・卵・チーズを食べる

人がダイエットをしたり、健康診断を受けたりするのは長生きしたいから。誰も、がずっと健康でありたいですし、おいしいものをたくさん食べていたいと思っています。

では、どういう食生活をすれば健康で長生きできるのでしょうか。答えは1つ。タンパク質と脂質を食べればいいのです。

肉・卵・チーズを「三種の神器」と呼んで、積極的に食べることを推奨しています。それらを食べるだけで、体重もガクンと落ちていきます。1日に食べる量の目安は、肉200 g、卵3 個、チーズ120 g。多いように感じるかもしれませんが、これだけ食べても糖質はほぼゼロなので太ることはありません。

肉は、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも構いません。もちろんラム肉でもOK です。

厳密にいえば、それぞれの栄養分はずいぶん違いますし、同じ肉でも部位によってかなりの開きがあります。でも、細かいことにこだわりたくありませんし、目的はタンパク質の摂取にあるので、単に「肉」としています。豚肉の脂身や、鶏肉の皮を取り除く必要はありません。そんなことをしたら、大切な脂質を捨てることになってしまいます。

卵は、ゆでても焼いても妙めても構いません。高価なブランド卵である必要もありません。1度に3 個まとめて食べてもいいし、3食に1個ずつ分けて食べても構いません。もっと食べたければ、4 個でも5個でも召し上がってください。

卵をいくら食べても、体にコレステロールはつきません。ただし、一度ゆでた卵は冷蔵庫に入れておいてもあまり日もちしないので、つくり置きは避けるのが無難です。

チーズは、プロセスチーズでもゴーダチーズでも何でも結構です。6 個人りの円形パックのものが、ちょうど120 g です。味や形の違うタイプのチーズを買っておいて、食後のデザート代わりにしたり、おやつとして少しずつ食べたりすれば大丈夫です。

ここでまた、肉・卵・チーズの栄養成分を見てみましょう。比較対象として、おにぎりを加えます。すべての重量を150g (卵3個分) にそろえ、牛肉と豚肉は同じ肩ロースとしました。いかがでしょうか。

肉・卵・チーズはほぼすべての項目が埋まるのに対し、おにぎりはゼロの項目がずいぶん目立ちます。炭水化物の含有量にも、天と地ほどの開きがあります。どちらが優れた食品であるかは、一目瞭然ではないでしょうか。

肉・卵・チーズは、低カロリー・低コレステロールダイエットが目の敵にしている食品です。でも、その理論が間違っていることは繰り返し説明しましたし、医学でもすでに証明済みです。長い間信じられてきた経緯はありますが、古い考えはもうバッサリと捨ててしまいましょう。

私たちの体は、主にタンパク質でできています。それなら、タンパク質をたくさん取るのが自然な流れのはず。卵は、いずれヒヨコが生まれる完全栄養食品です。

さすがに、ウシやブタは体の一部である肉しか食べられませんが、卵はニワトリの全身を食べているのと同じ。これ以上のものがないほど、優れたバランス栄養食です。

ところが、低カロリー・低コレステロールダイエットでの卵の扱いは、まったくひどいもの。「コレステロールが多すぎ」とか、「脂質の塊」といった評価なのですが、それをたくさん含んでいるからこそ積極的に食べるべきなのです。

チーズは、乳製品の代表です。乳製品といえば牛乳ですが、ちょっとだけ炭水化物が含まれている難点があるので、チーズのほうを推奨しています。でも、私たちほ乳類はみな母乳で育ちますし、欲しがって元気に泣く赤ちゃんに制限を加えるのもナンセンス。

私はそれを大人にあてはめ、チーズも食べたいだけ食べていいとしています。乳製品も、卵と同じく優れた食品です。これらの食品を食べる順番も、低カロリー・低コレステロールダイエットとはまったく逆です。あちらは、最初に野菜から食べろというのが定石ですが、『よく噛むダイエット』では肉・卵・チーズが先です。

焼き肉屋に行くと、まずはタンやハラミを食べてからカルビにいき、最後にご飯ものか冷麺で締めるというスタイルが一般的ですよね?

それと同じに、自宅の食卓でも肉から食べればいいだけです。もちろん、必ず30回噛むことは忘れないでください。ゆっくり噛んでいるうちに満腹になり、「締め」のご飯もいらなくなってきます。

ここで得た満腹感は、炭水化物をたくさん食べて胃がふくらんだだけの物理的満腹感ではなく、脳が納得して得られた満腹感。肉・卵・チーズを食べれば、人体が必要とする栄養素をすべてそろえて摂取できるので、脳が満足してくれるのです。食後血糖値も上がっていないため、次の食事までおなかがすくことはありません。

やがて、1日の食事のリズムを脳が記憶します。習慣化してしまえば、何の苦労もなく一生続けることが可能です。面倒なカロリー計算や、つらい我慢とも無縁。過剰な炭水化物摂取も間食もなくなるので、体重はどんどん減っていきます。そして、ダイエットがもつ最大の落とし穴で、これまでの方法では解決できなかったリバウンドも起こりません。

つまり、『よく噛むダイエット』は一生太らない体を手に入れられる方法なのです。

肥満の原因は栄養失調

食事のスタイルとしては早食い、摂取する栄養素としては炭水化物が肥満の原因でした。

炭水化物を多く含む食品は、ご飯・パン・麺類などの主食です。それらをたくさん食べて満腹になっても、すぐに空腹になるメカニズムが備わっているのです。

主食ばかりの食事には、大きな欠点がもう1つあります。人間が食事で摂取するべき栄養素が、決定的に不足してしまうことです。

例として、パスタ、ラーメン、ご飯の栄養分を調べてみましょう。今はインターネット時代ですから、パソコンさえあれば簡単に計算できます。調べたい食品を選んで重量を入力するだけで、成分ごとの含有量が一瞬で表示されます。それぞれ1 食分として、パスタは、「マカロニ・スパゲッティー乾」を80 g 、ラーメンは「中華めん生」を120 g、ご飯はおにざり2 個分で240 gと設定しました。

炭水化物の含有量がとても多いことが、ひと目でわかります。特に、パスタは重量の70 % 以上が炭水化物でした。特に注目していただきたいのは、ビタミンの欄。

A もB もC も、見事なまでにゼロの行進です。同じく、β カロチンもゼロ。つまり、私たちが主食にしている食品はほとんど炭水化物だけで構成されており、ほかの成分はわずかしか含まれていないのです。

では、このデータを実際の食事にあてはめてみましょうか。ある日の昼食に、ラーメンを食べたとしましょう。今はラーメン店も過当競争になっていますから、多くの店で無料のサービスライスがつきます。それをラーメンと一緒に食べたとしたら、一度の昼食に含まれる栄養分はどうでしょうか?

炭水化物だけで、ビタミン類やβ カロチンがまったくない、とても貧弱な昼食です。でも、食べた後にはとりあえず満腹を感じています。

ただし、これは胃の中のラーメンライスがおなかをふくらませただけの、物理的な満腹感。このとき、脳がどういう状態にあるかといえば、「必要とされる栄養分の不足」を感じている状態にあります。

同時に、体内では「炭水化物を大量摂取した後の血糖値の乱高下」が始まります。その結果、食べてから2 〜3時間もたつと、再び激しい空腹感が首をもたげます。

そこで食べたくなるのは、もちろん炭水化物。だからこそ、煎餅やクッキーやポテトチップがコンビニの店頭にたくさん並んでいるわけです。どれも、米や小麦粉やジャガイモという、炭水化物を多く含んだ材料でできた食べ物です。

炭水化物を食べて得た物理的満腹感は、こうして永遠にループしていきます。この状態を、「炭水化物中毒」だと指摘する専門家もいます。中毒まではいかないにせよ、多くの方がこのような食生活をしているはず。

だからこそ、3食ともにご飯や麺類を食べ、寝る前におなかがすいたらまた炭水化物のカップラーメンで満たすことになるのです。

そんな食生活では、ビタミン類やβ カロチンが取り入れられません。細胞やホルモンの材料になる、人体にとって欠かせないコレステロールも不足します。

朝、お子さんにおにぎりだけを食べさせて学校に行かせたら、どうなることでしょうか?

1日に30品目とか5色をそろえる食事法は、この栄養成分表のすべてをバランスよく摂取しなさいという意味です。

方法論は煩雑すぎて覚えられませんが、すべての栄養素を満遍なく取るという考え方自体は、けっして間違っていません。むしろ、そうであるべきでしょう。しかし、炭水化物が多量に含まれたご飯・パン・麺類ばかりの食事では、そうはいきません。

おなかはすく一方なのに、体にはどんどん脂肪がついていって太ることになります。つまり、肥満の原因は栄養失調にあったのです。ラーメンやパスタにはトッピングがありますが、それを加えても炭水化物だけを突出して摂取することには変わりありません。