2020年 2月 の投稿一覧

これまでの常識は通用しない、新しいものに変わっていく

室町幕府が始まったのは何年でしょうか?誰もが、「いい国つくろう鎌倉幕府」なのだから1192年だと記憶しているかと思います。室町幕府はどうでしょうか?あまり記憶にない人も多いかもしれませんが、1338年です。室町幕府は、織田信長によって京都から追放される1573年(元亀4年)までの237年間です。

ところが近年になり、源頼朝が権力を握って実際に統治をしていたのはそれより少し前の1185年からだとの認識に改められました。

今では、ほとんどの教科書が1185年を採用しています。もう1つ、私たちが子どもの頃に覚えた「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」という惑星の配列も、現在ではすでに変わっています。

冥王星が惑星の基準を満たしていないとされ、2006年に準惑星に「格下げ」されたのがその理由です。新たな発見があると、世の中のすべてはこうしてデータの書き替えがなされます。

それは医学の分野も同様で、日々ものすごいスピードで進化していきますから、私たち医師は常に勉強していかねばなりません。昔は1日に卵は1個までと言われていましたが、2~3食べても大丈夫と変わりました。

鎌倉幕府や冥王星の例のように、古いデータは廃棄しなければならないのです。

最近の医学の進歩でいえば、2003年にヒトのゲノム(DN  による全遺伝情報)が解読されたことがあげられます。その技術を使って個人の体質を読み取り、病気のかかりやすさや薬の副作用の有無などの研究も進められています。

「両親ともがんで亡くなったから、自分もがんになりやすいはずだ」などと誰もが言いますが、その発症の確率も科学的なデータで算出される時代がやってきたのです。

いわゆる難病として、これまで原因さえ不明だった数々の疾患についても、近いうちに画期的な治療法が見つかるかもしれません。

ゲノムの解読は高校の生物の教科書にも取り上げられ、これまで遺伝の定番として説明されていた「ダーウィンの進化論」や「メンデルの法則」についてはスペースが削減されたそうです。

一方、どういうわけか古いデータが古いまま、「常識」として残されていることもしばしば。これには、さまざまな立場の人の思惑や建て前がからんでいるケースも見受けられるので、首をかしげたくなる気持ちになもなります。

そうした間違いに振り回されるのはデメリットしかありません。、低カロリー・低コレステロールダイエットもそうです。

ダイエット関連の医学には、未だに多くの+古い常識がはびこってしまっています。その代表例が、コレステロールの位置づけです。

ちなみに

コレストロールとは | 健康メモ

によればとても大事な役割を担っていることがわかります。過剰になれば問題が発生しますが、人が生きていく上で欠かせないものです。

 

カロリー神話はもう役に立たない

現在、最もポピュラーで定番となっているダイエット法は、「食事療法(低カロリー・低コレステロールダイエット)に 軽い運動」をプラスしたものでしょう。

健康診断で引っかかったような人には、必ず推奨されています。方法で指導していた医師も多いはずです。ところが、失敗する人が多数いたのです。体に入るものを少なくし、出るものを増やすのですから、差し引きすれば減量できて当然でしょう。
必要以上のエネルギーを取り入れないのですから、一見すると理にかなっているようにも思えます。お金に置き換えて考えれば、収入が減って支出が増えたのと同じ。

ですから、差し引き赤字という計算になります。赤字というと聞こえがよくありませんが、この場合の黒字は体重増になるのでNGです。

ところが、人体はお金の収支と同じではありません。満腹することに慣れた体が、その欲求を我慢できないのです。

食事の総量を抑えながら動物性タンパク質や脂肪分を減らし、野菜をたくさん食べるのが、「低カロリー・低コレステロールダイエット」です。病院で推奨されるようになって長い期間が過ぎていますから、健康診断で血糖値や中性脂肪値などの結果が悪かった方の多くが、この方法を経験されたはず。

全国の病院で、医師も看護師も管理栄養士もこぞってこの方法を推進しました。そうした努力の甲斐あって、ここ10年で日本人の食事が大きく変わってきたのも事実です。

摂取するカロリー総量は減り、動物性脂肪摂取量もぐんぐん減りました。ところが、食事の改善とともに減るはずの肥満は一向になくならず、悪いことに生活習慣病はうなぎ上りに増える一方なのです。

特定健診が導入されたのは、つい12年前の2008年のこと。日本人に糖尿病などの生活習慣病が増えていることへの対策として、厚生労働省が導入に踏み切ったものです。長年にわたり、低カロリト・低コレステロールダイエットを進めてきたにもかかわらず、日本人の生活習慣病は増えに増えました。

そのために健康診断を強化し、予防に努めるという考え自体には私も共感できます。ところが、そこでイエローカードをもらった方に対する指導も、低カロリー・低コレステロールダイエットというのが信じられません。こんな話、おかしいと思いませんか?

糖尿病にまでは進んでいなくても、血糖値の高い人は「糖尿病予備軍」とされます。そこまで含めれば、日本の糖尿病患者数はもはや2200万人以上とされ、早急な対策が必要なことはわかっています。あらためていうまでもなく、糖尿病は放置すると危険な合併症が待っている、恐ろしい病気なのですから。そんな大変な状況なのに、いつまでたっても低カロリー・低コレステロールダイエットを唱えているのはあまりにも異常です。

ジョギングやウォーキングがブームになり、多くの街にフィットネスジムもたくさんできたのに、日本人は健康を手に入れられなかったばかりか、ものすごい勢いで生活習慣病を増やしているのです。断言しますが、低カロリー・低コレステロールダイエットは明らかに間違いです。そのことは、以上のような事実からも簡単に証明できています。カロリー神話は、すでに意味をなしていないのです。

これまでに効くと言われ流行したダイエット情報

これまでに人気を集めた無数のダイエット法がたくさんあります。人気が出て流行したかと思えば少し時間が経つと全く世の中から消えてしまったかのように消えていきます。書店には多種多様の関連書籍が競うように並んでいて、それぞれが絶大な効果を謳っています。
中には年間ベストセラーランキングに入るような本もありました。

食事・運動・呼吸や思考に加え、食べたものを記録するだけで減量するなど、方法論も実にさまざま。まずは、それらを大まかに分類してみましょう。

食事療法
太っている理由は、食べる量が多すぎるから減らそうという当たり前の理論です。ボクサーなどが減量するのはこのやり方ですが、専門のトレナーがついています。
平均的な成人男性で1日1500 kcal、成人女性で1200 kcalの基礎代謝(何もしないでじっとしていても、生命活動を維持するために必要な1 日のエネルギー量。日常生活では、その身体活動レベルに応じて1.5 〜2 倍程度が必要) を目安に、それ以上の食べ物を口にしないという方法です。
肉や脂を避けながら野菜を積極的に取ることが基本です。別の表現をすれば、「低カロリー・低コレステロールダイエット」ともいえます。ずっと空腹に耐えなければならないため、実施する人には強い意志が必要です。
バランスよく食事をするという名目で、1 日に30 品目を取りなさいという目安が出されまんたこともあります。同じ理由から、食材を赤・自・黄・線・黒の5色に分け、それらを満べん遍なく食べれば健康になるという方法もありました。
どちらも、現実的には難しい話ですし、分類を覚えることさえひと苦労でした。例外的といってもいい食事療法に、ファスティング(断食) があります。日本にも断食道場と呼ばれる施設があり、病院に入院して行うケースもあるようですが、急激なダイエットには必ず急激なリバウンドが訪れるもの。宿便うんぬんという根拠が暖昧ですし、健康面のリスクも高すぎるように思います。
代替食品
3食のうち1食を、ゼリーやジュースなどに置き換える方法。一見すると楽なようですが、ほかの食事は毎日変わるはずなのに、どうしてそれだけを食べればダイエットできるのかがわかりません。しかも、かなり高価なので出費が大変です。仮に、この方法で痩せられたとしても、普段の食事に戻したらリバウンドが待っています。
サプリメント
こちらも代替食品同様、普段の食事に加えて何らかの錠剤を飲み、それによってダイエットできるというもの。服用するだけで脂肪分の排出をうながす(または、体内に吸収しなくなる) という商品もありますが、効果のほどが疑問ですし消化器系への影響が心配です。代替食品同様に高価な点も問題ですし、一生飲み続けるわけにもいきません。ダイエットサプリメントのほとんどが下剤と同様のものだったりします。
特定食品
毎日、ある1つの食品だけを食べる方法。有名なものでは、バナナ、納豆、リンゴ、コンニャクなどがあります。
リンゴとニンジンで作ったジュースをひたすら飲み続けるといった発展系もあり、費用はさほどかかりませんがすぐに飽きてしまうので、継続できないという点だけでもダイエット法として落第です。オンリーダイエットという言い方がされるものでした。
目先を変えるためか、毎年のように新たな食品が注目されては消えていくというのが現実です。たとえば、パンダは竹しか食べないのにあの巨体を維持しています。それは、何万年という進化の歴史の中で築き上げたものであり、パンダにしか通用しない食事術です。
人間には、「○○だけ食べればいい」という食品などありません。それが一時期のダイエット目的であっても、健康上の問題は避けられないでしょう。
運動
ウォーキングから激しいスポーツまで含め、体を動かして体内エネルギーを消費する方法。お年寄りに人気のゲートボールもこれにあたります。
食事療法が体に入るエネルギーを減らすのに対し、こちらは体から出るエネルギ一に着日したものともいえます。
太ってくると、誰もが「運動しろ」と言われます。確かに、運動はエネルギーを消費できるのですが、やめてしまえば必ず太ります。
やめずに継続できたとしても、運動することで空腹になるため、余計に食べすぎてしまう人が多いのが現実です。運動の効果のほどを、正しく認識している人が少ないことも問題です。1 kg痩せるためには、なんと170 kmも歩かなければならないのです。
基本的には屋外で行うので、天候に左右されるネックがあります。最も手軽なウオーキングですら、夏の炎天下や冬の積雪時には不可能。チームで行う競技では仲間や場所を探すのが大変ですし、人間関係の問題が出てくる場合もあります。
スポーツには、減量というより筋力増強や健康増進の意味合いで行うケースも多いと思います。しかし、想像以上にかかってしまう体への負荷は避けられません。競技人口の多いアマチュアスポーツではゴルフがナンバーワンだそうですが、そのゴルフは筋肉や関節を傷めやすいことでも有名です。
器具系フィットネス
スポーツジムに通って行う運動です。トレーナーの指導の下、不思議な形の機械を動かしたり、プールで泳いだりして体を動かします。慣れればいいのかもしれませんが、通うことに慣れるまでがまず大変。
多忙で時間がない人には向きませんし、きついトレーニング自体にも大変な忍耐力が必要です。当然ながら、高額の費用もネックです。
器具なしフィットネス
ジムに通って行う、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、太極拳など。自宅でDVD を見ながら行うタイプの『カーゲィーダンス』や、数年前に流行した『ビリーズ・ブート・キャンプ』などもここに含んでいいでしょう。
この『ビリーズ…』はずいぶんヒットしたようですが、あまりにも激しい運動で脱落者が続出したのは記憶に新しいところです。その点、ヨガやピラティスはわりと楽に見えますが、体が硬い人には難しいため、すぐに諦めてしまいます。

非常に大ざっばに分類しました。これらに加え、エステティックサロンで行う脂肪の挟み出しや温熱などの施術もダイエットの一種なのかもしれませんし、骨盤矯正ベルトや耳ツボ押しなんていうのもあります。

どの方法でも、おそらく多少の減量は可能かもしれません。しかし、それはいずれリバウンドすることが確定している、一時的な現象です(百歩譲って、結婚式を控えた女性がウエディングドレスを着こなすためだけに痩せるといった、特殊な目的があるなら仕方がないのかもしれませんが )。

これらのダイエット法は、ずいぶん前からありました。一時期ブームになったバナナダイエットや納豆ダイエットは、今でも試みる人が多数いらっしゃいます。

でも、それが正しい方法であれば、現代に肥満の人など1人もいないはずです。バナナや納豆は、いつでもどこでも手に入る食品なので、それでダイエットできるなら誰もが痩せていて当然だからです。

その点は、ゼリーやサプリメントも同じでしょう。それを飲んだ人がみんな痩せるのなら、商品を買ってくれる人もいなくなり、メーカーは今頃とっくに倒産しています。

それなのに、テレビのCM で毎日あれだけ宣伝しているということは、痩せない人を騙して買わせ続けているという事実の裏返しではないでしょうか。

1つ付け加えておくと、女性の運動にはちょっとだけ注意が必要です。運動しておなかがすくと、女性はフィットネス後にジムの更衣室でパンを食べてしまうのです。プール帰りの帰宅途中で、おにぎりを食べる人もいます。こう書くと、なんだか責めているみたいですが、これは女性のDNAに刻まれた本能による行為であって、本人の意志が弱いせいではありません。

それは、自分がどんなに空腹でも、赤ちゃんにだけは母乳をあげようとする本能です。運動しても、その後ですぐに食ベてしまうのだから、女性は運動しても痩せられないのです。