しっかり噛むだけでスレンダー

全植物には毒がある

動物と同じように、植物も生活環境に合わせた進化をしています。動物と同じように、敵から身を守り、子孫を残すため、植物も進化しているということです。

そのため、多くの植物は毒をもっています。野菜を煮るとアクが出ますが、あれも一種の毒です。「シュウ酸」という、独特の苦みを発する物質をもっていて、敵に食べられないよう身を守っているのです。

生で大量に食べたら、必ずおなかをこわします。現在、世の中に出回っている野菜はすべて、食用にするため頻繁な品種改良を重ねた植物です。シュウ酸を減らす改良がなされているのですが、それでもゼロではありません。

テレビのグルメ番組で、野菜を食べたレポーターが「自然がいっぱいでおいしい! 」などと言いますが、実は品種改良を重ねた末の人工物であって、自然の産物ではないのです。

シュウ酸を減らしたため害虫に弱くなり、大量の農薬も使われています。食卓によく登場する野菜といえば、ジャガイモ、ニンジン、タマネギです。では、私たち日本人がこれらを口にするようになったのは、いつ頃からでしょう?

ジャガイモとニンジンは、16〜17世紀に日本に伝わりました。江戸時代が始まった頃です。

タマネギはもっと近年で、明治時代も末になってから。カブ、ゴボウ、ダイコンなどは6 〜8 世紀頃の伝来ですが、いずれにせよ日本人が野菜を食べるようになったのは、こんなに最近の出来事なのです。

古代には、そんな近代的な食用野菜など存在しません。おそらく、野草を食べて食中毒で亡くなるような出来事が何度もあったことでしょう。

現代では、「ヘルシー」な野菜サラダがもてはやされています。特に女性のヘルシー士心向は根強く、コンビニでお弁を買うときにも必ず野菜サラダが一緒です。ここに、大きな落とし穴が潜んでいます。

野菜サラダの材料といえば、レタス・トマト・キャベツといったところが代表です。最近では、ダイコン・タマネギ・ピーマン・ホウレン草なども好まれています。このホウレン草にはシュウ酸が多く含まれるため、生で大量に食べるとさまざまな体内物質と結合してしまい、腎臓や尿管の結石になる可能性があるのです。

シュウ酸にはまた、カルシウムや鉄などのミネラルと結合し、その吸収を妨げる働きがぁります。健康を気にする人が、骨密度や貧血を気にしてミネラルを多く含む食品を食べても、シュウ酸と一緒に食べたらまったく無意味になってしまうのです。ホウレン草をゆでると出るアクが、シュウ酸です。

つまり、生食でなければ大きな問題はありません。最近では、シュウ酸を少なくして生食用に品種改良したホウレン草も登場しています。

ちなみに、ホウレン草をよく食べる人の中には、貧血を気にしているケースも多いと思います。しかし、野菜に含まれる鉄分は非ヘム鉄で、その吸収率は1 ~6 % 。

一方、肉に含まれるヘム鉄は10 〜20 % と、大きな開きがあります。この違いも、人体が肉食向きの進化を遂げてきたことが根底にあるのかもしれません。

本来は肉食動物である人間が無理をして草食をすると、さまざまなトラブルが起こります。ホウレン草は、あくまで一例にすぎません。人間が野菜を食べることはヘルシーなようでいて、実は自然の摂理に反したおかしな話なのです。

野菜 | 食材のプロフィール

モバイルバージョンを終了