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寝る前の栄養補給で痩せる

従来のダイエット法では、就寝前の食事はNGでした。しかし、これも大きな間違いだと思います。

寝る前に卵やチーズを食べれば、睡眠中の体内で行われる出来事をサポートできるからです。意外と思う方がいらっしやるかもしれませんので、少し踏み込んで睡眠の役割を考えてみましょう。

人がなぜ眠るかといえば、体を休めるためです。皆さんも、病気やケガをしたときにはベッドで横になると思いますが、日常の睡眠もそれとまったく同じです。昼間の活動で酷使した脳や体を、眠ることで休息させるのです。

私たちの脳や体は、健康なときでも毎日少しずつ故障していきます。あちこち故障すれば、不具合も起きます。

たとえば、最も寿命が短い腸の粘膜の細胞は、たった15秒しか生きられません。赤血球も、120日が寿命です。このように、体の部品にはそれぞれの寿命があります。本人に自覚はないのに、毎日どこかが少しずつ故障していくわけです。その故障をいつ修理するかといえば、眠っている間。

そのため、ゆっくり横になって活動を休む時間が睡眠というわけです。腐ったミカンが1つあると、箱の中のミカンは全部腐ります。だから、腐ったミカンを見つけたらすぐに捨てなければなりません。

人体もこれと同じで、古くなった細胞をどんどん捨てて、新しい細胞に入れ替える必要があります。古い細胞を放置しておくと、そこから組織が腐っていってしまうからです。

ここで思い出していただきたいのが、コレステロールの役割。ケガをすると、肝臓から患部に急行してかさぶたをつくつてくれます。 そして、新しい細胞をつくるための材料になるのもコレステロールでした。

睡眠中に故障を修理するのですから、コレステロールの補給が必要です。だったら、寝る前にチーズや卵を食べればいいではないですか。

しかも、修理作業では大量のエネルギーを消費しますから、自分では何もしないのに痩せられるおまけつきです。

昔から、「寝る子は育つ」といいます。確かに、成長ホルモンの分泌が盛んになるのは深夜ですから、科学のなかった時代の人たちは、見事な観察眼をもっていたものだと感嘆します。こうして子どもたちは、眠っている間に大きくなりました。

私たち大人も、子どもと同じように「成長」 しています。古くなった細胞を捨て、故障や不具合を修正し、まっさらな細胞に交換していく成長です。前の項で示した栄養成分表の欄を全部埋めるような「正しい食事」を続けると、夜にはきちんと眠くなり、新しい情報を書き込んだ新しい細胞が全身を包んでくれるはずです。

人が生きるということは、体を毎日更新すること。リセットではなく、新生です。それをうながすためにも、体の材料となるタンパク質と脂質の摂取が不可欠。そうして、きちんと更新を重ねていくと、人間の体は100年もつようにデザインされています。逆に、更新を怠れば死がやってくるだけです。人生の3分の1 は、夢の中。できるだけ、快眠でありたいものです。

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粗食による食習慣は栄養失調と味覚異常の原因になる

日本人が世界一の長生きである理由は、タンパク質の摂取増にありました。その事実を知らず、和食のおかげだと思っている人は今でも多いものです。

同じ理由から、玄米などの粗食をありがたがる考え方の人もいます。しかし、国民が粗食をしていた時代の日本は平均寿命世界一ではなく、反対に低寿命の国でした。

これだけを見ても、粗食には何もメリットがないことがわかります。もう1つ、粗食には大きな問題があります。粗食は、味覚を妨げてしまうのです。人が味覚を感じる舌も、タンパク質でできています(実際には、味蕾という小さな器官が味を感じています)。

当然、タンパク質をはじめとする栄養をすべて摂取しなければ舌の機能が退化し、味覚も衰えます。栄養のない粗食では、味覚が鈍感になるわけです。

その結果、いくら食べても満足できないので早食いと過食につながります。粗食は栄養失調になり、栄養失調は味覚異常になり、味覚異常は肥満になるのです。

早食いでは唾液が分泌されないため、舌が乾燥して味覚を鈍化させます。このこともまた、人を肥満にさせる一因です。

肥満の人が早食いをする理由の1つが、味覚異常にあるのではないかと考える人はたくさんいらっしゃいます。

それは、こういう意味だったのです。粗食をする人の中には、痩せる人もいるでしょう。しかし、思い切って断言してしまうと、これは粗食による栄養失調から体調を崩して、やつれているだけです。

では、ダイエットにふさわしい食事とはどんなものでしょうか。1日に30品目も食べるのは、事実上不可能です。ご飯や麺類は炭水化物ばかりで、ビタミンやミネラルが不足してしまいまいす。

ところで、ビタミンを多く含む食品といえば、皆さんは何を思い浮かべますか? おそらく、多くの方が果物だと思うはずです。ところが、実は果物にビタミンはそれほど含まれていないのです。

ここで、粗食の代表である玄米とゴボウ、果物の代表としてグレープフルーツの栄養成分を見てみましょう。比較の対象として卵とベーコンを入れ、すべて100 gで重量を統一しました。グレープフルーツの欄を見ていただくと、ほとんどのビタミンがゼロか、それに近いことがおわかりいただけると思います。

ビタミンA 、D 、K 、B12はまったく含まれていません。ビタミンC こそ含まれていますが、ベーコンとほぼ同量です。ゴボウのほうは、全体の97% が水分と炭水化物だけです。

こちらもグレープフルーツと同様、ビタミン類は微々たる状況ですし、玄米は74% が炭水化物です。

粗食の材料としてよく使われる、ダイコン・コンニャク・納豆などもビタミンやミネラルにゼロが並ぶ食品です。

一方、卵とベーコンはほぼすべての栄養素がそろっています。それらを中心にした食事をすれば、30品目も食べることなく、必要な栄養素が摂取できるというわけです。粗食には、デメリットしかありません。

こうした粗食のメリットに振り回されてしまう人が現代人に多いのです。

痩せたいなら肉・卵・チーズを食べる

人がダイエットをしたり、健康診断を受けたりするのは長生きしたいから。誰も、がずっと健康でありたいですし、おいしいものをたくさん食べていたいと思っています。

では、どういう食生活をすれば健康で長生きできるのでしょうか。答えは1つ。タンパク質と脂質を食べればいいのです。

肉・卵・チーズを「三種の神器」と呼んで、積極的に食べることを推奨しています。それらを食べるだけで、体重もガクンと落ちていきます。1日に食べる量の目安は、肉200 g、卵3 個、チーズ120 g。多いように感じるかもしれませんが、これだけ食べても糖質はほぼゼロなので太ることはありません。

肉は、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも構いません。もちろんラム肉でもOK です。

厳密にいえば、それぞれの栄養分はずいぶん違いますし、同じ肉でも部位によってかなりの開きがあります。でも、細かいことにこだわりたくありませんし、目的はタンパク質の摂取にあるので、単に「肉」としています。豚肉の脂身や、鶏肉の皮を取り除く必要はありません。そんなことをしたら、大切な脂質を捨てることになってしまいます。

卵は、ゆでても焼いても妙めても構いません。高価なブランド卵である必要もありません。1度に3 個まとめて食べてもいいし、3食に1個ずつ分けて食べても構いません。もっと食べたければ、4 個でも5個でも召し上がってください。

卵をいくら食べても、体にコレステロールはつきません。ただし、一度ゆでた卵は冷蔵庫に入れておいてもあまり日もちしないので、つくり置きは避けるのが無難です。

チーズは、プロセスチーズでもゴーダチーズでも何でも結構です。6 個人りの円形パックのものが、ちょうど120 g です。味や形の違うタイプのチーズを買っておいて、食後のデザート代わりにしたり、おやつとして少しずつ食べたりすれば大丈夫です。

ここでまた、肉・卵・チーズの栄養成分を見てみましょう。比較対象として、おにぎりを加えます。すべての重量を150g (卵3個分) にそろえ、牛肉と豚肉は同じ肩ロースとしました。いかがでしょうか。

肉・卵・チーズはほぼすべての項目が埋まるのに対し、おにぎりはゼロの項目がずいぶん目立ちます。炭水化物の含有量にも、天と地ほどの開きがあります。どちらが優れた食品であるかは、一目瞭然ではないでしょうか。

肉・卵・チーズは、低カロリー・低コレステロールダイエットが目の敵にしている食品です。でも、その理論が間違っていることは繰り返し説明しましたし、医学でもすでに証明済みです。長い間信じられてきた経緯はありますが、古い考えはもうバッサリと捨ててしまいましょう。

私たちの体は、主にタンパク質でできています。それなら、タンパク質をたくさん取るのが自然な流れのはず。卵は、いずれヒヨコが生まれる完全栄養食品です。

さすがに、ウシやブタは体の一部である肉しか食べられませんが、卵はニワトリの全身を食べているのと同じ。これ以上のものがないほど、優れたバランス栄養食です。

ところが、低カロリー・低コレステロールダイエットでの卵の扱いは、まったくひどいもの。「コレステロールが多すぎ」とか、「脂質の塊」といった評価なのですが、それをたくさん含んでいるからこそ積極的に食べるべきなのです。

チーズは、乳製品の代表です。乳製品といえば牛乳ですが、ちょっとだけ炭水化物が含まれている難点があるので、チーズのほうを推奨しています。でも、私たちほ乳類はみな母乳で育ちますし、欲しがって元気に泣く赤ちゃんに制限を加えるのもナンセンス。

私はそれを大人にあてはめ、チーズも食べたいだけ食べていいとしています。乳製品も、卵と同じく優れた食品です。これらの食品を食べる順番も、低カロリー・低コレステロールダイエットとはまったく逆です。あちらは、最初に野菜から食べろというのが定石ですが、『よく噛むダイエット』では肉・卵・チーズが先です。

焼き肉屋に行くと、まずはタンやハラミを食べてからカルビにいき、最後にご飯ものか冷麺で締めるというスタイルが一般的ですよね?

それと同じに、自宅の食卓でも肉から食べればいいだけです。もちろん、必ず30回噛むことは忘れないでください。ゆっくり噛んでいるうちに満腹になり、「締め」のご飯もいらなくなってきます。

ここで得た満腹感は、炭水化物をたくさん食べて胃がふくらんだだけの物理的満腹感ではなく、脳が納得して得られた満腹感。肉・卵・チーズを食べれば、人体が必要とする栄養素をすべてそろえて摂取できるので、脳が満足してくれるのです。食後血糖値も上がっていないため、次の食事までおなかがすくことはありません。

やがて、1日の食事のリズムを脳が記憶します。習慣化してしまえば、何の苦労もなく一生続けることが可能です。面倒なカロリー計算や、つらい我慢とも無縁。過剰な炭水化物摂取も間食もなくなるので、体重はどんどん減っていきます。そして、ダイエットがもつ最大の落とし穴で、これまでの方法では解決できなかったリバウンドも起こりません。

つまり、『よく噛むダイエット』は一生太らない体を手に入れられる方法なのです。