加齢が影響している

23時には就寝するように習慣づける

「ぐっすり眠る大人は太らない」「寝る子は育つ」と言いますが、大人の老化防止にも睡眠は欠かせません子どもの成長を促す成長ホルモンは、思春期をピークに加齢により分泌量は低下しますが、大人でも分泌されています。
この成長ホルモンが分泌されるのが、おもに睡眠中なのです。

一般的に、夜10時から午前2時までの間を十分に眠っていれば、分泌がさかんになります。せめて夜11時には、床につきたいものです。

このホルモンには、日中に紫外線を浴びて傷ついた皮膚や、運動などで傷ついた筋肉を修復したり、疲労のもとを除去したり、免疫活動を高めたりと、眠っている間に体をメンテナンスする働きがあります。
疲れて弱った体の回復を促します。つまり、「太らない体」を維持してくれるホルモンなのです。だから「寝る子は育つ」だけでなく、「ぐっすり眠る大人は体が若い」と言えるのです。成長ホルモンの分泌が悪くなると、40代・50代には警告となるような次の症状が現れます。

  • 太り出す
  • 疲労が蓄積する
  • かぜをひきやすくなる
  • 食欲がなくなる
  • 食の好みが変わる
  • 皮膚が荒れる
  • 筋肉痛が続く

40歳を境にして、これらの症状に1つでも思い当たれば、それは老化が始まって「太りやすい体」に変わりつつある、とう体からのサインです。
実際に、「太り出す」ことが症状の1つになっています。そろそろ40代だから、これらの1つや2つはあるのは当たり前だ、と軽く見てはいけません。1つでも出てくれば、次々に症状が現れるのは時間の問題で、「中年太り」が進むだけでなく、老化もどんどん速まっていくのです。じっは、老化防止(アンチエイジング) の歴史は、この成長ホルモンの研究から始まっています。

成長ホルモンの分泌量が加齢とともに低下することは、以前からわかっていました。また、近年になって、成長ホルモンが不足すると、先に挙げた「太り出す」などといつた老化現象が現われることもわかってきました。そこで、アメリカのダニエル‥ フドマン博士という研究者が、高齢者の成長ホルモンを増やせば老化現象が改善するのではないか、と着目します。

1990年、博士は「正常な61歳から81歳までの男性に注射投与したところ、体脂肪が減ってスリムになった」という研究結果を発表しました。そのうえ、筋肉量が増えて運動能力がアップし、血中コレステロールが減って動脈硬化のリスクが低下したことも確かめられています。

博士の発表後、成長ホルモンは「若返りの薬」として注目され、世界中で研究が盛んになりましたが、現在では異論が多く唱えられています。外部から成長ホルモンを補充することによる副作用や、発ガンとの関係などが指摘され、成長ホルモン補充療法は特殊な病態を除いては安易に行なうべきではないとされています。

次のような方法で成長ホルモンレベルを維持する方法もあります。それは、まず第1一に、「良い睡眠」を確保すること。
第2に、寝る前には糖質やアルコールを過度にとらないこと。
第3は、軽い運動。
そして第4は、血液中の「DHEA」レベルを維持することです。

とくに40代・50代に「DHEA」を重要視してほしい理由は、これが男性ホルモンであるテストステロンの材料になるからです。「DHEA」は、男性ホルモンの材料になります。男性ホルモンの1つ、テストステロンは、男女を問わずきわめて重要な働きをしていますが、その役割の代表は、筋肉をつくる働きです。脂肪細胞の中にある「幹細胞」と呼ばれる細胞が、筋肉になるか、それとも脂肪になるかを決定づけているのが、テストステロンである可能性が最近の研究でわかってきました。

ところが、帝京大学の研究によると、40代、50代の男性のテストステロンレベルが60代、70代の男性よりも低いという衝撃的なデータが報告されているのです。原因は明らかではありませんが、その意味でも、「40代は体の曲がり角」と言えるのです。

ここで「止められる老化」を確実に止めるかどうかで、その後の体、ひいては人生が変わってきます。と言っても、気をつけなければならないのは、ちょっとした日常的な習慣だけなのです。

ストレスが原因で男性ホルモンが減るのは肥満の原因にも

「ストレス太り」という言葉がありますが、まんざら嘘でもありません。40代の体の大敵その3、「ホルモン分泌の変化」は、ストレスと関係している場合が少なくないからです。

精神的なストレスを受けると、体は副腎皮質(腎臓のすぐ上にあり、多くのホルモンを分泌する器官) からストレスホルモン( コルチゾール) を分泌します。
強いストレスや激しいショックを受けた場合にも大量に分泌され、「ここ一番」とがんばるときなども、ドッと出ます。ストレスホルモンは、こうして過度なストレスから、体と心を守ろうとしているわけです。ただ厄介なのは、このホルモンははかの部分でさまざまな悪影響を及ぼすことです。

ストレスホルモンは、ほかのさまざまなホルモンの分泌を妨げます。若さを保ち、免疫力を維持するホルモン(DHEA) をはじめ、性機能にかかわるホルモン(テストステロン)、睡眠に関係するホルモン(セロトニ ン、メラトニン) などの分泌を減少させてしまうのです。

このように、老化の一大要因となるストレスは、「中年太り」にも直結しています。ストレスを受けた際に分泌されるストレスホルモンには、筋肉からアミノ酸を取り出して、糖分に変える働きがあります。その結果として血糖値が上がります。すると今度は血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが分泌されます。
インスリンは細胞に働きかけて、血液中に増えた糖質を脂肪に変えていきます。こうした状態が続くと筋肉量が減少して、脂肪が増えてしまいます。また、ストレスによって、男性ホルモンが減ってしまうこともよく知られています。これは大脳の中枢にある性ホルモンの分泌をコントロールする器官がストレスによって十分に働かなくなるために起きる現象です。男性ホルモンは、筋肉を増やし脂肪を減らす代表的なホルモンです。

っまり、男性ホルモンの減少が続くと、筋肉がやせて、お腹周りの脂肪が増えやすい体型になってしまうということです。こうした状態が長く続けば、当たり前の結果として「中年太り」が進んでいきます。

夢の食べても食べても「太らない食べ方」

40代からの大敵の1つ、「糖化」についてです。体を構成する主要な成分は、タンパク質です。細胞も大部分がタンパク質で、酵素や脳の情報伝達物質もタンパク質です。その大事な成分が糖(ブドウ糖) によって変化します。これを「糖化(グリケーション)」と言います。

糖は生きるためのエネルギー源なので、生きている以上、「糖化」は避けられません。そうなると、「糖化」されたタンパク質同士がくっつき、絡み合います(プロテインリンケージ)。そのためタンパク質の働きが悪くなって、体の機能低下へとつながります。
体の機能が低下するということは、エネルギー消費も滞りがちになるということ。つまり、余分な脂肪がたまり、太りやすくなるということです。

たとえば「糖化」が脳の神経細胞に起こると、「うつ」になりやすいとされています。血管であれば、「糖化」で傷んだところに大敵その1、「酸化」が加わるとダブルパンチで動脈硬化がより発生しやすくなります。
また、血管が硬くなって血流が悪くなり、手足の冷えの原因にもなります。

また、皮膚の「コラーゲン」というタンパク質が「糖化」すると、肌の弾力がなくなり、極端に老けた印象になります。
こうした健康障害を引き起こす「糖化」は、言ってみれば、自転車の歯車の間に、油ではなく砂糖水を流し込むようなもの。

砂糖水をさすと、ベトつきが強くなって歯車が動かなくなり、自転車は使えなくなってしまいます。体にも、同じことが言えるわけです。糖は生きるためのエネルギー源ですから、生きている以上、「糖化」は起こってしまいます。

ただし、これも日常生活をちょっと見直すだけで、過剰な「糖化」が起こりにくい体内環境はつくれます。今日から、次の3つに気をつけた食生活を始めてください。

まず、「一気に大量に食べない」こと。これは個人差がありますが、1回の食事には最低でも20分かけます。これが目安です。
糖が血液で脳に運ばれると、満腹中枢から満腹のサインが出ます。それにかかる時間が20分程度なのです。つまり、食事をしている最中に、満腹サインを受けるようにするのです。そうすると、食欲が抑えられます。

2つ目は「糖質の多い食材はたくさん食べない」こと。穀類、イモ類、甘いものを控えることも大切です。

3つ目に、「十分に時間をあけて食べる」こと。6時問おきに3食をきちんととるのが理想ですが、現実はそうはいきません。ですが、せめて就寝3時間前には夕食を終えることを原則にして、朝昼をとります。
そして少し空腹感を覚えて寝ます。食べものを胃の中に残して寝ると消化に良くないだけでなく、吸収された栄養素が燃焼することなく脂肪として蓄えられてしまいます。

この3つが太らないための食べ方で、「太らない体」をつくる秘訣の1つです。「糖」は体の大切なエネルギーの1つです。ただ、とりすぎると「糖化」という悪い作用が過剰に働いてしまう。このことをぜひ覚えておいてください。