快眠のコツ

就寝前の10分でストレスフリーにする

睡眠は、最高のストレス解消法です。グッスリ眠れば、心の不安や悩みはやわらぎ、体の疲れは回復します。しかし、逆にストレスが「良い眠り」を妨げる最大の要因になることも、多々あります。強いストレスがあると、グッスリ眠れず、睡眠不足になり、ますますストレスがたまっていってしまうのです。それが若返りと「太らない体」に欠かせない成長ホルモンと「DHEA」の分泌をさまたげることは、今や言うまでもないでしょう。

人の体には、目、耳、皮膚などさまざまなセンサーが備わっていて、意識するしないにかかわらず、つねに外界からの刺激を受けとり、反応しています。この過程でストレスが発生しています。より良い眠りを得るためには、寝る前に、効果的なストレス緩和法を行なうことが大切です。

その方法はたくさんありますが、ストレスをやわらげるのにもっとも有効なのは、何もしない「自分だけの時間」を持つことです。外界からの刺激を完全にシャットアウトする時間を持つことで、ストレスはやわらげられます。ですから、寝る前の10分でも、外界にいっさい反応しなくてもいい自分だけの時間をつくりましょう。

想像や思考も刺激になるので、音楽も本もなしです。できるだけ頭の中がからっぼになるように過ごしましょう。テレビを見たり、音楽を聴いたり、家族と話したりしては、のんびりくつろげたとしても、センサーは働いているので、「自分だけの時間」と言えません。

この「自分だけの時間」におすすめしたいのが、腹式呼吸です。正しい呼吸法は、心身のリラックスにたいへん有効です。人は呼吸によって、体外から酸素をとり込むだけでなく、体内の老廃物や二酸化炭素を排出しています。

呼吸は便や尿を排泄したり、汗をかいたりするのと同じように、「体のそうじ」の手段でもあるのです。正しい呼吸法を身につけている人とそうでない人では、健康状態に大きな差が出てきます。

深く正しい呼吸をするだけで、血液の巡りが良くなり、肩こりは改善し、疲労は早く回復します。心身ともリラックスしてストレスは軽減し、心が安定してきます。呼吸は自分でコントロールができ、速くしたり、遅くしたり、長くしたり、短くしたり、深くしたり、浅くしたりできます。
正しい呼吸法は、次のような「呼気(口から吐く息)の長い腹式呼吸」です。

  1. 口をすぼめて、ゆっくりと息を吐きます。お腹をへこませ、お腹の底から空気を少しずつすっかり吐ききります。鼻から吐いてもいいのですが、口から吐いたほうがより長く吐ききることができます。
  2. ゆっくりと鼻から息を吸います。お腹をふくらませ、お腹の底に空気をためるように、深く吸い込みます。

正座でも、椅子に座った場合でも、姿勢を良くしないとこの呼吸法はできません。背筋を伸ばして、腹に手を当てます。口から息を吐く(呼気) のにともなってお腹がへこみ、鼻から息を吸い込む(吸気) のにともなって、お腹がふくれることを確かめながら行ないましょう。
呼気は、吸気の2ば倍くらい長く行なうのがコツです。長い呼気によって副交感神経に働きかけて、活動モードから休息モードに変え、ストレスを軽くします。ストレスホルモンの過剰分泌も抑えられ、ホルモンバランスも良くなります。

毎日、思いつくたびに何回でも、トータルで10~20分程度になるまでやってみましょう。座禅や瞑想も、腹式呼吸が基本です。筋肉を伸ばして緊張をほぐすストレッチも、腹式呼吸で行なうと、リラックス効果がいっそう高くなります。

ストレスは、40代、50代の体の最難敵です。そしてストレス追放は、「DHEA」の分泌を促し、「太らない体」をつくるための最高の特効薬となるのです。

太らない体のための「枕」がある

寝具も、睡眠の質を左右します。枕、掛けぶとん、敷きぶとん、パジャマ…。すべてが、眠りの質に関係しているのです。まず、枕は「高すぎず、低すぎず」が基本。

仰向けに寝たときの姿勢を横から見て・立った姿勢と同じになる高さが理想的です。高すぎると、首の痛みや肩こりが起こりやすくなります。

軟らかくフカフカしすぎて頭が沈み込むと、首に負担がかかり、脳への血流に影響することもあります。逆に、硬すぎてもその刺激が寝つきを悪くし、熟睡をさまたげます。朝まで目覚めずに眠れたとしても、起きたとき首や肩に違和感があり、頭がスッキリしないときは、枕の高さや硬さが原因かもしれません。

また、吸湿性と通気性も重要です。夏は放熱性、冬は保温性の高い素材を選びましょう。

枕を自分好みに調整できるものも最近は登場しています。
快眠を極めた枕〔エアウィーヴピロー S-LINE airweave〕です。枕選びやなかなかよい枕に出会えない人には最適です。

枕同様、ふとんも無視できません。やはり吸湿性、通気性は大切です。冬の時期にふとんの保温性が低いと、ふとん内の適温が保てず、寝つきが悪くなつたり、途中で目覚めたりします。掛けぶとんは、軽くて薄めのものが適しています。
重い布団は、それが刺激となって途中で目覚める原因となる場合があります。
薄いものを何枚か用意しておき、掛ける枚数で暑さ寒さに対応します。敷きぶとんやベッドマットは「硬すぎず、軟らかすぎず」が基本です。

感触は人にょって違うので、実際に寝心地を試して選びます。最近は、さまざまなマットレスが開発されています。寝返りが多く、そのたびに目覚めたり、眠りが浅くなつたりしてしまうという人のために、寝返りを減らす低反発マットレスや、寝返りがスムーズにできるマットレスなども市販されています。どのタイプのマットレスが合うかは、体型によって決まるので、「心地良さ」を目安に自分に合ったものを探す必要があります。

パジャマは、体を締めつけないものが適しています。締めつけると、それが刺激となって眠りが浅くなる場合があります。季節に合わせて吸湿性や通気性、放熱性、保温性の良いものを選びましょう。

これまでにも紹介したとおり、「良い睡眠」は、成長ホルモンと「DHEA」の正常な分泌に大きく関わっています。「良い睡眠」を得るコツについてはいろいろ紹介したとおりですが、それを100パーセント機能させるためには、こうした寝具選びも見過ごせないのです。

快眠のための寝室の室温は23度

「眠るのに適した温度」というものがあります。いつでも「良い眠り」を得るには、眠るときの「適温」にも気をつけたいものです。
その適温とは、23度。暑くなく、寒くなく、心地良い温度です。と言っても、ふとんの中の温度は調整しにくいので、室温を調節します。

室温の目安は、地域にもよりますが、夏は27~28度、冬は18~20度、湿度50~60%です。エアコンだけでなく、除湿器や加湿器も上手に使いうといでしょう。

なぜ、この温度が適温なのでしょうか。睡眠の第1の役割は、脳のオーバーヒートを防ぐことです。そのために、体温を下げて脳を冷やします。体温が下がると、眠くなるのです。体温は活動と休息のリズムに合わせて、上がったり下がったりしています。

運動や食事などに敏感に反応し、小幅な上下を繰り返していますが、活動しているときは高く、寝て休息しているときは低くなります。

通常、日中はずっと高く、夕方の6時ごろにもっとも高くなった後、少しだけ下がります。午後11時ごろから急速に下がり、午前3~4時にもっとも低くなった後、低いレベルを保ち、翌朝7時ごろから急速に上がり、高いレベルとなります。体温が下がって眠くなるとき、誘眠ホルモンのメラトニンの分泌がさかんになります。メラトニンと体温は互いに影響しあって、眠りをつくつているのです。体は皮膚から放熱して血液を冷やし、これを循環させて体温を下げます。

たとえば、赤ちゃんの手が温かくなってくると、お母さんは「眠くなったのね」と言ってふとんをかけてやり、寝かせます。手が温かくなるのは、体温を下げて眠りに入る準備のため、副交感神経が働き末梢血管が広がり、手から放熱しているからです。

うまく放熱し、体温が下がれば、眠気が生まれ、すんなり寝つくことができます。うまく放熱できないと、体温が下がらず、寝つきが悪くなります。ですから、ふとんの中を、体が放熱するのに適した温度に保つことが大切です。その適温が、33度なのです。適温より低いと、体は、冷えすぎるのを防ぐために、筋肉を緊張させて熱をつくります。したがって、体温がスムーズに下がりません。逆に、適温より高いと、体は汗をかいてしまって体温を効率良く下げることができません。すると、寝つきが悪くなってしまいます。だから、寝るのにちょうど良い温度になるように、室温を調整することが大切なのです。